目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

電力系統

電力系統全体にわたる停電事故の復旧

一般電気事業者の電力系統全体にわたる停電事故(全停事故)が発生した場合の復旧手順と留意事項について,説明する。 初期電源の確保 基幹送電線の復旧 負荷への供給 参考文献 更新履歴 初期電源の確保 一般的には,健全な隣接系統からの受電により順次再送…

電力系統と設備との協調

電力系統は,構成要素である送電線・変電機器などの設備が有機的に関係し合い,システム全体として,最適な機能を発揮するように設計する必要がある。 このような電力系統と設備との協調(「システムコーディネーション」と呼ばれている)に関して,説明する…

電力系統における電力損失

電力系統における電力損失(発電所で発生した電力が,需要家に供給されるまでの間に発電所,変電所及び送電線や配電線でその一部が失われること)に関して,説明する。 電力損失を構成する内容 発電所所内電力 水力発電所所内電力の所内比率 送変配電設備の…

三相遮断時の過渡安定性

図に示す 1 機無限大母線系統の 2 回線送電線において,1 回線の送電端母線の至近端で事故が起こり,当該回線の三相遮断が行われた場合の過渡安定性について,説明する。 図 1 機無限大母線系統の 2 回線送電線 過渡安定性面から見た送電線事故の過酷度合い …

電力系統の電圧・無効電力制御

電力系統の電圧・無効電力制御は,発変電所の母線電圧を運転目標値内に制御し,定常時の電圧安定度上の余裕度を高め,事故時又は負荷急変時の電圧回復を迅速に行うほか,無効電力潮流を軽減することによって送電損失を軽減することを目的としている。 無効電…

電力系統内における停電事故の拡大

電力系統の一部に生じた単純な事故が引き金となり,これに悪条件が重なると次から次へと事故が拡大することがある。 このように事故を拡大させる悪条件(技術的要因)としては,次のようなことが考えられる。 有効電力の需給不平衡による系統周波数の異常変…

電力系統の信頼度

電力供給に関する品質を表す基本的項目としては,一般に電圧変動,周波数変動,停電の三つが用いられるが,この中で社会的影響が最も大きいのが停電,すなわち供給支障であり,この度合を表す尺度は一般的に供給信頼度と呼ばれている。 この供給信頼度には,…

電力系統の安定度~同期発電機が同期運転を維持するための安定条件~

電力系統に接続される同期発電機は,系統から受ける擾乱に対して同期運転を維持するための安定条件が必要である。これを電力系統の安定度と呼んでいる。

潮流調整と潮流計算

本稿では,電力潮流の調整と電力潮流の計算について説明する。 潮流調整(power flow control) 電力潮流は,需要変動に応じて調整する供給力の変動により時々刻々変化している。 電力潮流を適正に調整することにより,電力設備の過負荷防止や安定度向上等の…

直列コンデンサによる送電能力の向上

本稿では,長距離送電線の送電容量増大と安定度向上に有効な方法である直列コンデンサについて説明する。 直列コンデンサによる送電能力の向上 送電線への直列コンデンサ設置の事例 直列コンデンサを挿入した三相 3 線式送電系統の損失 参考文献 更新履歴 直…

電力系統に発電設備等を連系する場合

電力系統に発電設備等を連系する場合の基本事項 高圧配電線路との連系は,発電設備等の一設置者当たりの電力容量が原則として 2 000 [kW] 未満(低圧配電線路との連系は, 50 [kW] 未満)である。 発電設備等の一設置者当たりの電力容量とは,発電設備等設置…

電力系統の系統間連系

わが国では電気事業者間の広域的運営のため,電力系統の系統間連系が整備されてきているが,連系線潮流の制御が複雑になるなどの理由から,相互の連系は 1 点連系を基本としてきた。 この系統間連系により期待できる利点及び考慮すべき留意点の主なものは以…

電力系統の需給運用・需給計画

日々の電力需要は,季節,曜日,気温の変化に応じて大きく変化する。 そこで翌日の需要予想は,これまでの需要実績と気温の変化,季節的特徴や祝日などの特異日などをベースに作成する。 これに対し,供給力は各発電所の運転状況について,水力発電の出水状…

電力系統に発生する瞬時電圧低下

瞬時電圧低下(略して「瞬低(しゅんてい)」ともいう)は,電力系統の各種事故により,系統の電圧が瞬間的に低下するために発生するものであり,コンピュータが停止するなどの影響を与えることがある。 瞬時電圧低下は,送電鉄塔又は架空地線に落雷した場合…

周波数制御用発電所

周波数制御用発電所は一般に次のような条件を具備しなければならない。 必要とする調整能力(kW , kW・A)を常時持っていること。 出力調整が容易で負荷変動に対する応答性が高く,さらに高効率運転ができること。 出力調整により水力発電所では水量の変動…

電力系統の不平衡状態

系統内の三相電流が不平衡となる原因は,主に電気炉,溶接機,交流式電気鉄道等の大型三相不平衡負荷,送電線三相インピーダンスの不平衡,送電線の断線・地絡などである。 大型三相不平衡負荷のうち,交流式電気鉄道は極めて単相負荷容量が大きく,「電気設…

電力系統の周波数

次の文章は,電力系統の周波数に関する記述である。 電力系統の周波数の変動及びその影響 周波数変動による問題 電気使用者側の問題の例 電力系統管理側の問題の例 電力系統の周波数調整 経済負荷配分制御(ELD) 負荷周波数制御(LFC) 定周波数制御(FFC :…

電力系統の中性点接地の目的と方式

電力系統の中性点は,事故発生時における過電圧の抑制と保護装置の確実な動作のために接地されることが多い。 接地方式は,直接接地,抵抗接地,非接地に大別できるが,接地抵抗には系統特性に応じて,補償リアクトルや消弧リアクトルが併用される場合がある…

交流送電の特徴

電力系統の電気方式は,送配電線に流れる電流の種類によって直流方式と交流方式に大別できる。 電気事業の初期ならびに海底ケーブルを含む長距離大容量送電など特定な場合を除き,現在は交流方式がもっぱら採用されている。 これは交流送電の次に述べる利点…

送配電系統の高調波

近年,需要家で使用する機器に変換装置(サイリスタ・ダイオードなど),アーク炉,サイクロンコンバータ,交流電力調整機器など交流波形をひずませる高調波を多く含んでいるものが広く使用され,電力系統の高調波含有率が増加する傾向にある。 高調波含有率…

分散型電源の系統連系

本稿では,分散型電源の系統連系について述べる。 ここで,分散型電源とは,一般電気事業者及び卸電気事業者以外の者が設置する発電設備等であって,一般電気事業者が運用する電力系統に連系するものをいう。 分散型電源の系統連系に係る用語の定義 電気設備…

電力系統に生じる電力動揺

遠隔地電源から無限大母線へ遅れ力率で送電している超高圧並行 2 回線送電線において,その片回線が開放され,生じた電力動揺が収まった後に投入された。 片回線開放直後,発電端電圧は急に上昇し,その後ある周期で振動する。投入時もやはり発電端電圧は投…

送配電系統の電圧上昇とその対策

都市部の送配電系統ではケーブル系統の採用や需要家側に設置された力率改善用コンデンサの常時投入などにより,深夜軽負荷帯などに無効電力発生が過剰となる場合がある。 軽負荷時には充電電流(進み電流)の影響,いわゆるフェランチ効果(Ferranti effect…

送電線路の送電容量

送電線路で送電できる送電容量は様々な制約条件を考慮して定められる。それぞれの制約により,送電容量を増加させるための対策は異なる。

電力系統に発生する過電圧と絶縁

電力系統の過電圧(overvoltage)には,雷撃により発生する雷過電圧,遮断器の開閉操作に伴い発生する開閉過電圧,一線地絡電流や負荷遮断により発生する短時間交流過電圧がある。 これら三つの過電圧を比べると,一般的に,過電圧の電圧値の大きさの関係は…

電力系統の短絡容量

電力系統の短絡容量(系統容量)について説明しています。 なぜ短絡容量は増大するのか,段落容量増大により生じる問題とその対策について述べる。 また,オーム法による三相短絡時の故障電流(短絡電流)の大きさの計算方法について説明する。

電力系統の中性点接地による異常電圧抑制

電力系統に 1 線地絡故障のような不平衡故障が起こると変圧器や回転機の三相巻線の Y 結線の中性点接地を経由して大地を帰路とする地絡電流が流れる。 送電線の 1 線が地絡した結果,他の健全な相の対地電圧が上昇する 1 線地絡時健全相対地電圧上昇がおき,…

電力系統の構成

発電機による電気エネルギー発生が実現して以来,電力系統工学は急速に発展してきた。 電気を発生して,輸送し,供給・販売するという電気事業はエジソンによって 1882 年に始められた。 電気事業の根幹たる電力系統は,ベースロードありき,集中型,一方通…

電力系統安定化装置(PSS)

電力系統安定化装置(PSS),統合型系統安定化システム(IRAS)について説明する。 電力系統安定化装置(PSS) 超速応励磁装置の目的及び機能 系統安定化装置を併せて設置する理由 統合型系統安定化システム IRAS IRAS の概要 中央装置 検出装置 制御装置 参…