変圧器
変圧器の一次側の電圧を一定に保っても,二次側電圧は負荷の状態に応じて変化する。本稿では,変圧器の電圧変動について丁寧に解説する。
変圧器に入力する電力の一部は,変圧器の内部で損失となり熱に変わる。 この熱による温度上昇は絶縁物の劣化等につながるため,温度上昇を抑制する観点から冷却は必要である。 変圧器の冷却方式には容量や使用環境によって種々の方式がある。 巻線及び鉄心の…
大容量変電機器の信頼性確保に関して大容量変圧器及び大容量 GIS を例にとり,説明する。 輸送及び現地据付け 大容量変電機器の品質を確保するために,輸送及び現地据付けに関して,設計時に配慮する事項を説明する。 大容量変圧器及び大容量 GIS に共通して…
変圧器の事故により火災や噴油が発生した際の,当該変圧器の周辺機器や変電所周囲環境への波及防止策を挙げる。 消火対策 変圧器に火災が発生した場合に早期に消火するため,水噴霧などの固定消火装置や大形消火器を変圧器の周辺に設置し,火災発生時は自動…
大容量変圧器の輸送,現地据付作業における品質確保に必要な管理項目について,絶縁物の吸湿防止,異物混入防止,過大な衝撃防止等の観点について述べる。 大容量変圧器の輸送 変圧器輸送時は変圧器のブッシング保護の観点から,輸送車両にはタコグラフを取…
変圧器の電路の絶縁耐力については,「電気設備技術基準の解釈」第16条 第1項 第1号の規定により,巻線の種類に応じた試験電圧及び試験方法で絶縁耐力を試験したときこれに耐えることとされている。 変圧器の電路は,次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を…
次の文章は,電気設備技術基準の解釈 第37条【避雷器等の施設】である。 図 避雷器の図記号 a. 高圧及び特別高圧の電路中,次に掲げる箇所又はこれに近接する箇所には,避雷器を施設すること。 発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の架空電線の引込口…
三相ブリッジ接続の他励サイリスタ変換装置に用いる変圧器において,一次巻線(交流巻線)を三相とも短絡し,二次巻線(直流巻線)の任意の 2 端子間に定格周波数の正弦波電流を通電したときの電圧及び電流から算出される全リアクタンスは,転流リアクタンス…
変圧器のスコット結線(scott wiring)は,単相変圧器 2 台を用いて三相交流を二相交流に変換する結線で,交流電気車に単相交流電力をき電する場合や,単相電気炉 2 台を運転する場合などに使用されている。 スコット結線とは,三相,二相変換を行うための結…
移行電圧とは,変圧器の高圧側巻線に侵入したサージ電圧が,巻線間の静電容量,又は結合リアクタンスを経て低圧側巻線に移行することをいい,前者を静電移行電圧,後者を電磁移行電圧という。 条件によっては低圧巻線及びこれに接続している機器の絶縁を脅か…
変圧器の鉄心は,磁化特性に優れたけい素鋼板で構成されている。変圧器鉄心を磁気回路として捉えると,磁気抵抗が非常に小さいため,直流偏磁の影響を受けやすい。本稿では,変圧器の直流偏磁現象について述べる。
都市部の屋内・地下変電所では,防火対策*1が簡略化できることから従来の絶縁油に代わり,SF6 ガスにて絶縁し,不燃化を図るガス絶縁変圧器(gas insulated transformer)が採用される例が増えている。 GIS などのガス絶縁開閉機器との組み合わせも容易であ…
変圧器の耐電圧試験は,短時間交流耐電圧試験,長時間交流耐電圧試験,雷インパルス耐電圧試験の 3 種に区分される。 短時間交流耐電圧試験 短時間交流耐電圧試験は,所定の商用周波交流試験電圧を 1 分間程度印加し,絶縁破壊を生じることなく耐えることを…
変圧器は,使用しているうちに次第に劣化を生じる。主な劣化箇所は絶縁物であり,次の要因が考えられる。 熱による劣化 コロナによる劣化 機械的応力による劣化 このうち,過負荷運転による劣化に最も大きな影響を及ぼすのは熱による劣化である。 変圧器の過…
変圧器事故の未然防止策として,設計・製作及び施工面での品質管理の向上が図られている。 保守面でも,以下のような診断技術も広く用いられ,また,近年では絶縁物の劣化生成物であるフルフラールなどの含有量を基にした劣化診断技術の適用も進められ,事故…
電気設備に関する技術基準を定める省令 電気設備に関する技術基準を定める省令 第13条【特別高圧を直接低圧に変成する変圧器の施設制限】の規定は,以下のとおり。 特別高圧を直接低圧に変成する変圧器は,次の各号のいずれかに掲げる場合を除き,施設しては…
絶縁油は,油入変圧器や油入コンデンサなどの電気機器に広く使用されており,その主な役割は機器の絶縁と冷却である。 油入機器の内部で異常過熱や絶縁劣化が生じると,絶縁油から発生した分解ガスや絶縁物の劣化生成物が絶縁油に溶け込み,絶縁油の化学的特…
台風や地震による停電時に,避難所や病院等に電気を供給する高圧発電機車など,車載式や貨物自動車等で移設して使用する電気工作物を移動用電気工作物といい,移動用発電設備,非自航船用電気設備,移動用変電設備,移動用予備変圧器の四つに分類される。 こ…
発変電設備等の損傷による供給支障の防止 次の文章は,「電気設備技術基準」における,発変電設備等の損傷による供給支障の防止に関する記述である。 発電機,燃料電池又は常用電源として用いる蓄電池には,当該電気機械器具を著しく損傷するおそれがあり,…
油入変圧器 (Oil-immersed transformer) は運転に入った後,温度,湿度,酸素等により絶縁物が次第に劣化し,それが進行すると,雷サージ,開閉サージなどの異常電圧あるいは外部短絡の際の電磁機械力などの電気的・機械的異常ストレスを受けた場合,破壊す…
変圧器は一般に,高圧巻線と低圧巻線がそれぞれ単独に,必要な容量の巻線から構成される。 単巻変圧器では低圧巻線を高圧巻線と共有することに特徴がある。 この場合,一般の変圧器に比べ,変圧器の自己容量は低減する。高圧側電圧 500 [kV] と低圧側電圧 27…
三相変圧器巻線の結線方式(three phase connection)には Y 結線(星形結線)と,Δ 結線(三角結線)の 2 種類がある。 結線 星形結線 三角結線 千鳥結線 スコット結線 Y-Y 結線(星形星形結線) Y-Δ 結線と Δ-Y 結線(星形三角結線と三角星形結線) Y-Δ 結…
本稿では,単巻変圧器について説明する。 単巻変圧器の定義 単巻変圧器の理論 単巻変圧器の電圧,電流,巻数の関係 直列巻線と分路巻線の電圧の関係 単巻変圧器の用途 単巻変圧器と複巻変圧器との比較 例題 単巻変圧器の二次側の負荷抵抗の消費電力 参考文献…
本稿では,火力発電所に設置される主変圧器と所内変圧器について述べる。 主変圧器 低圧側電圧を発電機端子電圧にほぼ等しくすることから,低圧部には大電流が流れる そのため,巻線漏れ磁束や巻線リードの磁界による構造部材の局部過熱への配慮が必要である…
変電機器は大容量,大型化を辿ってきた。 大都市の電力需要が増加していた時代においては,変電所も都市周辺,あるいは人口密集地帯に設置されることが多くなり,変電機器に対する低騒音化の要求が厳しくなってきている。 変電所の機器の中では連続音を発生…
変圧器の負荷時タップ切換装置について解説しています。変圧器の負荷時にタップ切換を行えることで,重負荷・軽負荷に関わらず,一定の電圧で電気が使えます。
高電圧工学において対象とされる絶縁物としては,気体,液体,固体があげられ,おのおのの誘電体における放電現象ならびに絶縁破壊機構は異なっている。 高電圧電力機器の絶縁材料(insulating material)としては,空気,SF6ガスなどの気体,絶縁油などの液…
変圧器充電時における鉄心内の磁束は印加電圧の積分で表されるので,例えば電圧零の時点で電源が投入されると,最初の 1 サイクルの間に磁束は定常状態の磁束最大値の 2 倍に達し,飽和磁束密度を超えるので,過渡的に大きな電流が流入する*1。 この電流を励…
電力用変圧器の損失と効率について解説しています。変圧器の無負荷損や負荷損,変圧器の効率の求め方を詳しく説明しています。
変電所の負荷の増大などに対応するため,複数台の変圧器を並行運転(parallel running,または並列運転)することが必要となる。 変圧器の並行運転に必要な条件は,以下のとおり。 一次,二次の定格電圧が等しく,巻線比(変圧比)が等しいこと(定格電圧と…