目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

変圧器のスコット結線

変圧器のスコット結線(scott wiring)は,単相変圧器 2 台を用いて三相交流を二相交流に変換する結線で,交流電気車に単相交流電力をき電する場合や,単相電気炉 2 台を運転する場合などに使用されている。

スコット結線とは,三相,二相変換を行うための結線で,三相側回路の一相の線路に接続される巻線の一端が,他の二相の線路に接続される巻線の中点に接続され,両者の巻線の誘導電圧が互いに直角位相となるものをいう。

(出典)JEC-2200-1995「変圧器」

図 1 に,単相変圧器 T1 及び T2 を用いて,T1 の一次巻線の一端を T2 の一次巻線の中点 O に接続して,T1 の残りの一端と T2 の一次巻線の両端とを三相電源(U 相,V 相,T 相)に接続する場合を示す。

二次巻線は二相電源(u-ou,v-ov)となる。

図1

図1 単相変圧器 T1 及び T2 を用いたスコット変圧器

この場合,T1 を T 座変圧器,T2 を主座変圧器という。

T1 及び T2 を無負荷として,一次側(U,V,W)に対称三相交流電圧を印加した場合,二次側に生じる電圧の大きさがそれぞれ等しく,かつ,その位相が $\displaystyle \frac{\pi}{2}$ rad 異なるためには,T2 の巻数の比 $a:1$ に対し,T1 の巻き数の比を $\displaystyle (\frac{\sqrt{3}}{2}\times a):1$ にする必要がある。

このように構成されたスコット結線の二次側の各相に,等しい単相負荷を接続すれば,一次側には平衡した三相交流電流が流れる。

この場合,T1 の容量が T2 の $\displaystyle \frac{\sqrt{3}}{2}$ 倍となるので総合利用率は 92.8 % である。

次に,図 1 の T2 と容量及び巻数が等しい 2 台の単相変圧器 T3,T4 をスコット結線として図 2 に示すように接続する。

図2

図2 単相変圧器 T3 及び T4 を用いたスコット変圧器

このとき,T3 の一次側巻線に巻き数の比が $\displaystyle (\frac{\sqrt{3}}{2}\times a):1$ になる位置にタップを設け,タップを図 1 と同じように対称三相交流電源の U 相に接続する。

この場合においても二次側の各相に等しい単相負荷を接続すれば,一次側には平衡した三相交流電流が流れる。この場合の総合利用率は 86.6 % である。

参考文献

更新履歴

  • 2022年7月7日 新規作成
  • 2022年12月3日 参考文献に JEC-2200-1995「変圧器」を追加
  • 2023年9月30日 体裁を見直し,参考文献に「スコット結線とは - E&M JOBS」を追加