目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

配電

配電計画

配電計画を立てるためには,まず将来の需要電力を正確に把握しなければならない。 もし,この想定が狂えば設備が無駄になったり,不足して,供給支障をきたすことになる。 また,配電方式を決めるためには,その地域における需要密度を適格に予測する必要が…

電線路の絶縁性能

「電気設備に関する技術基準を定める省令」及び「電気設備の技術基準の解釈」に基づき,絶縁性能を確認するために現場で行う試験について,低圧の電線路と高圧以上の電線路における試験方法の違いを説明する。 低圧の電線路の絶縁性能 低圧電線路の絶縁性能…

配電系統の電力損失低減

配電系統の電力損失を低減することはエネルギー資源の効率的な活用に有効である。 配電系統の電力損失低減策は,以下のとおり。 柱上変圧器を重負荷地点近傍に設置する。 配電電圧を格上げする(昇圧)。 力率改善用コンデンサを設置する。 負荷電流の不平衡…

ケーブルの損失低減

ケーブルの損失低減について述べる。 交流導体抵抗の低減 ケーブルの導体損失の主要な低減方策としては,導体の大サイズ化による交流導体抵抗の低減があげられる。 しかし,導体の大サイズ化に伴い表皮効果によって,この効果は小さくなるため,これを抑える…

配電系統構成

一般に配電線路の形態としては,新規需要の発生に応じて幹線と分岐線を延長していくため,現在,樹枝状方式が架空配電系統で最も多い方式である。 この方式では,施設費は安価であるがそのままでは信頼度が低いため,通常,幹線は自動区分開閉器によって適当…

コンクリート柱

配電線の大容量化などに伴う太線化と多回線化による設計荷重の増加に加え,木材資源が乏しくなってきたことから,現在,我が国では配電系統の支持物(電柱)としてコンクリート柱が主流となっている。 電柱には電線をはじめとした種々の設備が取り付けられる…

電力系統の中性点接地の目的と方式

電力系統の中性点は,事故発生時における過電圧の抑制と保護装置の確実な動作のために接地されることが多い。 接地方式は,直接接地,抵抗接地,非接地に大別できるが,接地抵抗には系統特性に応じて,補償リアクトルや消弧リアクトルが併用される場合がある…

電圧フリッカ

配電線にアーク炉や溶接機などのような変動負荷が接続されると,その負荷電流による電圧降下のために配電線の電圧が変動する*1。 この電圧変動が頻繁に繰り返され,照明の明るさにちらつきを生じる現象を電圧フリッカ(voltage flicker)という*2。 電圧フリ…

地中配電線路

高圧地中配電系統には,配電用変圧器の引出口,過密都市部,電車線路や幹線道路横断箇所など架空電線路では設備が輻輳し,施設することが技術的に困難な箇所に施設するものや,都市機能,景観上の観点から施設するものなどがある。 その系統構成はケーブルの…

電力系統の高調波

近年,需要家で使用する機器に変換装置(サイリスタ・ダイオードなど),アーク炉,サイクロンコンバータ,交流電力調整機器など交流波形をひずませる高調波を多く含んでいるものが広く使用され,電力系統の高調波含有率が増加する傾向にある。 高調波含有率…

分散型電源の系統連系

本稿では,分散型電源の系統連系について述べる。 ここで,分散型電源とは,一般電気事業者及び卸電気事業者以外の者が設置する発電設備等であって,一般電気事業者が運用する電力系統に連系するものをいう。 分散型電源の系統連系に係る用語の定義 電気設備…

配電線の電圧調整

低圧需要家への供給電圧を電気事業法で定められた範囲内に維持するためには,配電用変電所の送出電圧を合理的に調整し,配電系統各部の電圧降下を適切に配分することが必要である。 ただし,近年普及してきた分散形電源が接続された系統では,需要家構内の消…

ケーブルの診断技術と事故点測定法

油浸絶縁ケーブルの絶縁低下は,主にシースの腐食・外傷などによる絶縁体の吸湿,浸水やケーブルの熱伸縮などによる空げきの発生,長年月の使用による絶縁体の変質などの単独あるいは組み合わせにより発生する。 また,架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケー…

配電自動化システム

配電自動化システム*1により配電線事故発生箇所を含む区間を自動的に区分する方式として,事故発生時に配電線停止によりいったん無電圧開放された自動開閉器を,変電所の配電線用遮断器の再閉路と協調して,一定の時間間隔で順次投入する時限順送方式が一般…

低圧配電線の配線方式

低圧配電線には単相 2 線式,単相 3 線式,三相 3 線式及び三相 4 線式などが採用される。 いずれの方式においても,混触時の低圧側電圧上昇を抑制するという保安上の理由から,一般には一線又は中性点が接地されている。 単相 2 線式(single-phase two-wir…

配電系統に施設される柱上開閉器

柱上開閉器は,主に配電線路の作業時の区分用又は故障時の切り離し用として使用される。柱上開閉器は操作ひもにより開閉操作する手動式と,制御装置を組み合わせた自動式に区分される。 以前は油入形が主流だったが,昭和 51 年(1976 年)に「電気設備に関…

配電系統のスポットネットワーク方式

スポットネットワーク方式(spot-network arrangement system)は,同一変電所から 22 kV ~ 33 kV の 3 回線の配電線により常時並列で需要家に電力供給を行う方式であり,分岐線はいずれも T 分岐で引き込んでいる。 T 引き込みし,それぞれ受電用断路器を…

低圧屋内配線における保護の種類

低圧屋内配線における保護の種類としては,主として過電流,地絡保護,過電圧保護がある。 過電流保護 過負荷電流,あるいは,短絡電流を総称して過電流(OC : Over Current)というが,この過電流による電線,電気機器の過熱焼損及び火災事故を防止するため…

太陽光発電

太陽発電には太陽の光および熱を利用する太陽光発電と太陽熱発電の二つがある。 これらの発電方式は無限のエネルギーを利用でき,かつ,環境を保全するクリーンなエネルギーである。 しかし,自然現象に依存しているため,そのエネルギー密度にかぎりがあり…

配電系統の絶縁協調

配電用機器は線路開閉時の内部異常電圧(内雷)*1には機器の絶縁強度で十分に耐えられるように選定されているが,全ての雷に耐えるようにすることは経済的にも不可能に近い。 すなわち,配電線や配電用機器の絶縁を外雷の衝撃性過電圧に耐える程度に高めるこ…

配電線の高低圧混触

一般に低圧電路は,変圧器の内部故障や電線等の断線故障の際に高圧電路と混触を起こし,高圧側の電圧が低圧側に現れて危険となるおそれがあるため,変圧器には B 種接地工事を施して,発生する電位上昇を抑制している。 電気設備に関する技術基準を定める省…

架空配電系統の環境調和設備

配電設備は地域の実態,都市化の進展に対応して技術開発が進められている。具体的には,環境調和とあわせてビル火災時の消防活動や,構造物との離隔確保などの安全対策,さらには都市美化を兼ねた対策を施している。 上記の一例として占有スペースの縮小化を…

配電系統の故障と保護

我が国の配電線は架空線が多く,年度により若干の差異はあるものの雷,風水害,氷雪,塩害など自然災害の影響を大きく受けることが多く,約半数を占める。 electrical-engineer.hatenablog.jp その他の事故の要因としては,設備不備,保守不備や自動車の衝突…