目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

太陽光発電

太陽発電には太陽の光および熱を利用する太陽光発電と太陽熱発電の二つがある。

これらの発電方式は無限のエネルギーを利用でき,かつ,環境を保全するクリーンなエネルギーである。

しかし,自然現象に依存しているため,そのエネルギー密度にかぎりがあり,かつ,天候によって大きな影響を受けやすい特徴をもっている。

本稿では,太陽光発電について述べる。

太陽光発電

地上に降りそそぐ太陽光のエネルギー密度は約 1 kW/m2 である。

地球が受け取る太陽エネルギーの総量は,地球全体が快晴で,その 64 % が吸収されると仮定すると約 1.1 × 1014 kW となり,1 時間の太陽エネルギー量は,全世界の年間のエネルギー利用量を上回る大きな値である。

太陽光発電は,この太陽から地上へ到来する放射エネルギーを太陽電池(solar cell)で,直接,電気に変換して出力を得る発電方式である。

シリコンを原材料とする太陽電池セルの変換効率は,現状(2010年度)では最高 20 [%] 程度である。

太陽電池の出力特性は日射量や温度によって変化するため,常に出力が最大化されるよう制御されており,これを MPPT 制御*1と呼ぶ。

変換効率に関しては,太陽光の幅広い波長分布をできるだけ広く利用して変換効率を向上させる多接合型太陽電池などの技術開発も進められている。

太陽光発電システムの構成

発電が可能な太陽電池(solar cell)*2の最小単位をセルといい,結晶系シリコン太陽電池では 1 枚の太陽電池セルの出力電圧は約 0.5 V である。

太陽光発電に用いられる太陽電池で最も多く使われているのは多結晶のシリコン系半導体太陽電池全体の約 65 [%] を占めており,そのエネルギー変換効率はバルク状の太陽電池セルで 14 から 18 [%] 程度である(平成17年度に出題された数値)。

太陽電池を接続して必要な電圧が得られるように加工したものが太陽電池モジュールで,設置する場合の最小単位となる。

数十枚のセルを直並列に接続した必要な出力を得るが,これをモジュールといい,製品として流通する単位となる。

モジュールに直列に接続したものをストリングといい,これが並列に接続されてインバータへ直流電力を供給する。

一部のセルが木の葉などで日陰になると発電しなくなり高抵抗となる。

ここに電流が流れると発熱しモジュールを破損することがあるので,バイパス素子を設けて防止する。

太陽電池モジュールの絶縁性能

太陽電池モジュールは,次のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。

最大使用電圧の 1.5 倍の直流電圧又は 1 倍の交流電圧(500 [V] 未満となる場合は,500 [V] )を充電部分と大地との間に連続して 10 分間加えたとき,これに耐える性能を有すること。

使用電圧が低圧の場合の絶縁性能は,次によること。

  1. 日本工業規格 JIS C 8918 (1998)「結晶系太陽電池モジュール」の「6.1 電気性能」(JIS C8918 (2005)にて追補)又は日本工業規格 JIS C 8939 (1995)「アモルファス太陽電池モジュール」(JIS C8939 (2005)にて追補)の「6.1 電気的性能」に適合するものであること。
  2. 電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は,開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに,次の表の左欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ,それぞれ同表の右欄に掲げる値以上でなければならない。
電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗
電路の使用電圧の区分 絶縁抵抗値
300 [V]
以下
対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧,非接地式電路においては電線間の電圧をいう。)が,150 [V] 以下の場合 0.1 [MΩ]
その他 0.2 [MΩ]
300 [V] を超えるもの 0.4 [MΩ]

インバータ

太陽電池アレイから直流電力の利用に適した交流電力に変換する。

系統連系装置

スイッチ機能,電力系統からの侵入サージのブロック,事故時の保護機能をもつ。

パワーコンディショナ

インバータと系統連系装置は通常一つにまとめられ,パワーコンディショナ(PCS)と呼ばれている。

パワーコンディショナは太陽光発電システムの運転と制御を行うが,異常発生時の保護リレーとして過電圧リレーなどが備えられている。

系統連系

太陽光発電を配電系統と接続する場合,太陽電池で発電した電力は直流なのでインバータで交流に変換し,系統保護装置を通してから系統に接続する。

この発電した電力が系統に送られることを逆潮流という。

太陽光発電は天候によりその出力が大きく変動するため,系統に接続する場合には注意が必要となる。

特に容量の小さい配電系統への接続では,配電系統の電圧変動に注意を払う必要がある。

低圧連系のこの装置には,受動的方式と能動的方式の単独運転検出装置を備えることになっている。

このうち,受動的方式は,一般に高速性に優れているが,不感帯領域がある点や,急激な負荷変動等による不要動作を避けることに留意する必要がある。

また,広範囲の瞬時電圧低下や急激な周波数の変化等により太陽光発電が一斉に停止又は解列すると,系統全体の電圧や周波数の維持に大きな影響を与える可能性があるため,そのような場合にも運転を継続できる能力が要請されている。

太陽電池発電設備の保安

  1. 電圧 600 V 以下,合計出力 50 kW 未満であって,同一の構内に他の発電設備がない太陽電池発電設備は,小出力発電設備である。
  2. 上記 1. の太陽電池発電設備のうち,電気事業法で定める一般用電気工作物に該当する太陽電池発電設備の設置者は,主任技術者の選任は必要でない。
  3. 上記 2. に該当しない太陽電池発電設備は,事業用電気工作物となるため,その設置者は保安規程の策定・届出,及び主任技術者の選任が必要であるが,出力 2 000 kW 未満であって,電圧 7 000 V 以下で連系されている自家用電気工作物の場合には,主任技術者の業務を,経済産業大臣又は産業保安監督部長の承認を得て,外部に委託することができる。

参考文献

[rakuten:book:20302798:detail]

更新履歴

  • 2021年11月17日 新規作成
  • 2021年11月21日 参考文献に「平成22年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 電力 問6」を追加
  • 2021年12月12日 参考文献に「平成17年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 電力 問5」を追加
  • 2022年3月6日 参考文献に「平成27年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 法規 問5」「平成25年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 法規 問6」を追加
  • 2022年5月14日 参考文献に「平成30年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問5」を追加

*1:MPPT(Maximum Power Point Tracking)方式とは,和訳すると最大電力点追従となり,その名の示す通り,気象条件等の変化で常に変動する最適動作点を追従しながら動作する機能である。

*2:物質に光が当たったとき,その物質に現れる電気的効果の総称である光電効果の一種である光起電力効果(物質に光が照射されたとき起電力を生ずる現象)を利用して起電力を発生させる電池。