火力発電
タービン発電機に採用される固定子巻線水冷却方式に関する次の各項目について説明する。 ランキング参加中電気主任技術者 水冷却方式を採用する目的と発電機水冷却系統の概要 水冷却式発電機に付属される機器と制御装置の概要 運転中に冷却水の循環が停止し…
次に示す発電設備について,使用する燃料又は利用するエネルギーとしての特性を踏まえ,我が国におけるエネルギーセキュリティ*1の確保と地球環境保全の観点から,特徴,現状及び課題について説明する。 今後の電源開発を進めるうえで,石油代替エネルギー導…
火力発電所における大容量タービン発電機に関し,次の点について,水力発電所の水車発電機との相違点を挙げ,それらを対比して説明する。 回転速度 主軸の設置方向と構造 回転子の構造 参考文献 更新履歴 回転速度 水車発電機の回転速度が 100 ~ 600 [min-1…
タービン発電機の界磁喪失に関する事項について説明する。 界磁喪失が発生する主な原因 界磁喪失時の影響 界磁喪失時に発電機に与える影響 界磁喪失時に系統に与える影響 界磁喪失保護に用いられるリレー 参考文献 更新履歴 界磁喪失が発生する主な原因 ター…
電力需要に対応する供給力は,国のエネルギー政策として,従来から石油代替エネルギーの開発・導入を推進し多様化を図ってきた。 しかし,石油・天然ガスを始めとするエネルギー資源の大部分を海外に依存していること,そして気候変動問題を始めとする環境問…
我が国における汽力発電所の所内単独運転について述べる。 所内単独運転が実施される事態 電力系統の事故により汽力発電ユニットが系統から分離した場合に実施される。 ユニットを停止させることなく,所内負荷をもって運転を継続し,系統電圧の復帰を待って…
汽力発電所(コンバインドサイクル発電所を除く。)が系統並列運転中に,以下の事象が発生した際に考えられる発電所設備への影響について,説明する。 系統周波数が異常に低下した場合 定格出力付近で運転している汽力発電所において,系統事故などにより周…
大容量火力発電所に採用されるクロスコンパウンド形タービン・発電機に関して,説明する。 タービン及び発電機の軸構成の概要 並列形タービンともいわれ,車室を並列に二つの直線上に配列したものである。 他の方式と比較しての特徴 同じ程度のタービン,発…
火力発電所で用いられている貫流ボイラの概要と特徴について説明する。 貫流ボイラの概要 貫流ボイラは自然循環ボイラ,強制循環ボイラのようにドラムおよび降水管を持たず,長い管の一端から給水ポンプで給水を押し込み,途中で順次,加熱,蒸発,加熱され…
近年,省資源と環境保全の観点からガスタービンとその排気ガスを利用した蒸気タービンを組み合わせ,熱効率を向上させるコンバインドサイクル発電が火力発電の主流として多く採用されている。 コバインドサイクル発電とは,複合サイクル発電とも呼ばれ,異な…
火力発電所の所内交流回路には,送電系統や所内回路の事故により電源喪失した場合でも安全面や設備保全で重要な補機電動機(負荷)が運転継続できるように,非常用ディーゼル発電機が接続できる電源系統構成となっている。 この電源系統に接続されている補機…
汽力発電所の主要機器の緊急停止時の相互関係のうち,次の場合の機器のトリップの必要性とその理由について述べる。 ボイラ側事故時のタービン 貫流ボイラの場合,MFT(燃料トリップ)により燃料が遮断されて消火したときに残圧によるタービン負荷運転を継続…
本稿では,ボイラの損失について述べる。 未燃分損失 不完全燃焼による損失 排ガス損失 排気中の水蒸気の蒸発熱による損失 放射伝熱損失 参考文献 更新履歴 未燃分損失 燃料の燃えかすのなかにごく少量残る,未燃分(主に炭素分)による損失熱量である。 石…
発電機の自動電圧調整装置は,界磁電流を制御して発電機端子電圧を調整するものである。 自動電圧調整装置は内部に保護機能を有しており,界磁電流が増加した場合,ある値を超えると強制的に引き下げ,さらに,所定の時間を経過しても界磁電流の増加傾向が抑…
マイクロガスタービン発電は,7 万 ~ 10 万 [min-1] 程度の回転速度を持つ小形タービンに高周波発電機と電力変換装置を組み合わせたもので,出力は 50 [kW] 程度で,都市ガス・軽油などを燃料としている。 ディーゼルエンジン発電などと比較した場合,コン…
近年,石炭火力発電は地球環境問題と資源有効利用の観点から高効率化と高い環境特性が求められていることから,従来の微粉炭燃焼に代わる技術としてPFBC(Pressurized Fluidized Bed Combustion)の開発・導入が進められている。 この発電方式は,圧力容器内…
火力発電所や原子力発電所の発電機と主変圧器との間の電路*1には相分離母線(Isolated Phase Bus : IPB)が使用されている。 相分離母線は,各相の導体を接地した金属製外被で閉鎖して,各相を分離した構造の母線である。 図 相分離母線の構造 外被材料とし…
蒸気タービン及びタービン発電機の軸に起電力が発生した場合に,軸受及び軸受台を通してほとんど短絡状態に近い閉回路ができると軸電流が流れる。 蒸気タービンでは,蒸気の粒子が相互摩擦,あるいは,高速でタービン動翼,軸に衝突又は摩擦する際,蒸気ター…
運転中の蒸気タービンの回転速度を一定に保つには,調速装置によって蒸気加減弁を駆動・制御し,タービンに流入する蒸気流量の調節を行う。 なお,再熱タービンにおいては,系統の負荷が急激に遮断されたとき,蒸気加減弁を閉じても再熱蒸気がタービンに流入…
火力発電所では一般に,所内電源が停電した場合に備えて,ディーゼル発電機及び蓄電池が設けられるが,これらの設置目的について述べるとともに,それぞれに接続される負荷となる機械器具を説明する。 ディーゼル発電機 蓄電池 参考文献 更新履歴 ディーゼル…
石炭ガス化複合発電(IGCC : Integrated coal Gasification Combined Cycle,石炭ガス化コンバインド発電)とは,石炭をガス化炉内で部分酸化することにより一酸化炭素と水素を主成分とする可燃性ガスに転換し,その生成ガスから窒素化合物,硫黄化合物,ダ…
ガスタービンの運転で重要な制御はガバナ制御と燃焼温度制御である。 回転数を制御するガバナ制御では燃料流量を制御するが,蒸気系の出力応答性が遅いためガスタービンの応答を敏感にする必要がある。 そのためガスタービンの速度調定率は蒸気系に比べて小…
LNG(液化天然ガス,Liquefied Natural Gas)はメタン,エタンを主成分とする天然ガスを超低温で液化したもので,その主成分は約 9 割 がメタンで占められている。 メタンは常温・常圧で気体であるが -162 °C という超低温まで冷却すると液化し,体積は約 1/…
周波数制御用発電所は一般に次のような条件を具備しなければならない。 必要とする調整能力(kW , kW・A)を常時持っていること。 出力調整が容易で負荷変動に対する応答性が高く,さらに高効率運転ができること。 出力調整により水力発電所では水量の変動…
電力部門の CO2 排出量の大半を占めるのが火力発電所からの CO2 排出であり,2050 年までにカーボンニュートラルを実現するためには,火力発電所からの CO2 排出量を削減していく必要がある。 火力発電は CO2 を多く排出するが,一方で,太陽光発電や風力発…
火力発電所のボイラ設備とその保安装置について説明する。 火力発電所のボイラ設備 過熱器(superheater) 再熱器(reheater) 節炭器(economizer) 空気予熱器(air heater) 火力発電所におけるボイラの保安装置 参考文献 更新履歴 火力発電所のボイラ設…
汽力発電所の運転時における熱効率の維持向上対策は,以下のとおり。 過熱蒸気の採用 過熱蒸気を採用することによりエンタルピーが増大し,熱効率が向上する。 復水器真空度の向上 復水器の真空度が向上すると背圧が下がり,タービンの熱落差が大きくなって…
本稿では,火力発電所に設置される主変圧器と所内変圧器について述べる。 主変圧器 低圧側電圧を発電機端子電圧にほぼ等しくすることから,低圧部には大電流が流れる そのため,巻線漏れ磁束や巻線リードの磁界による構造部材の局部過熱への配慮が必要である…
蒸気タービンを用いた汽力発電所(コンバインドサイクル発電所を除く)の蒸気サイクルはランキンサイクルが基本であるが,その熱効率を向上させるために再熱サイクルや再生サイクルが採用される。 再熱サイクル ランキンサイクルの熱効率は,入口温度が一定…
コンバインドサイクル発電プラントを構成する設備のうち,ガスタービンは高温条件で使用されるため,材料の選定,保守には様々な配慮が必要となる。 ガスタービン部品のうちタービン翼など高温にさらされ,かつ高い強度が求められる部分には,鉄(Fe),ニッ…