目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

配電自動化システム

配電自動化システム*1により配電線事故発生箇所を含む区間を自動的に区分する方式として,事故発生時に配電線停止によりいったん無電圧開放された自動開閉器を,変電所の配電線用遮断器の再閉路と協調して,一定の時間間隔で順次投入する時限順送方式が一般的に採用されている。

その他,配電指令所などの遠隔から信号伝送路を使用して開閉器の入切の個別制御を行う遠隔制御方式,さらにコンピュータを利用し,配電線運転管理の自動化を図るコンピュータ制御方式がある。

配電自動化の目的と概要

配電自動化の目的

配電自動化の目的は,以下のとおり。

  • 供給信頼度の向上
  • 事故探査業務の省力化
  • 設備利用率の向上
  • 運転状態の監視制御の省力化
  • 保守業務の軽減,省力化
  • 負荷率の向上
  • 検針業務の省力化および効率化
  • 情報の即時把握精度向上による設備の効率的運用

配電自動化の概要

配電設備(機器類)の遠方制御と監視を主として行うものである。

具体的には,線路用開閉器・配電線器具・変電所再閉路装置・配電系統保護装置の遠方制御を行うとともに,変電所と一体となった保護および情報監視機能を充実させ,配電線路(系統)全体の運用情報の監視を行う。

時限順送方式

事故の一定時間後,配電線用遮断器が再閉路すると自動開閉器の制御装置に電圧が印加されて,自動開閉器を一定時限で順次投入していき,故障区間の電源側自動開閉器が投入されると,故障区間へ通電され,再び配電線用遮断器が遮断動作し,故障区間が検出される。

その後の 2 回の再閉路時には,この自動開閉器は開放状態のままロックされて故障区間を分離し,この自動開閉器までの送電を確保する。

また,配電線用遮断器の投入から再遮断までの時間を計測することで,効率的に故障区間を配電用変電所側で把握することができる。

遠方制御方式

事故停電時間の短縮や配電用変電所の変圧器事故対策として開閉器を遠方制御するものである。

この方式は,区分および連系用の開閉器に遠隔制御機能をもたせたもので,事故時の健全区間の逆送送電のみでなく,停電作業時の切換操作なども遠隔操作することにより停電時間の短縮と省力化が期待できる。

コンピュータ制御方式

前述の遠方制御方式とあわせ,時々刻々変動する負荷状態に応じた最適な逆送操作や,日常運転記録,管理資料作成などをコンピュータにより自動処理する方式である。

コンピュータ制御方式は各送配電会社で積極的に開発・導入が進められている。

参考文献

更新履歴

  • 2021年12月16日 新規作成
  • 2021年12月18日 遠方制御方式,コンピュータ制御方式を追加
  • 2022年10月22日 参考文献に「平成15年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問5」を追加

*1:配電自動化方式(automatic operation in distribution system,または,distribution automation system)