目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

複合がい管・碍子の特性と適用

送電線や変電機器のがい管,がいしには,従来から磁器製のものが広く採用されているが,近年,これに加えて FRP 製の筒にシリコーンゴムを被覆した複合がい管・がいしが採用されてきている。

複合がい管・がいしの長所は,軽量であること,はっ水性があるため耐汚損性能が良好であることなどである。一方,複合がい管・がいしは上記のような長所をもつ反面,寿命特性を十分確認することが必要である。

複合がい管・がいしは,軽量であることから, 66 [kV] , 77 [kV] 送電線では相間スペーサに多く適用されている。変電所ではガス遮断器のブッシングや避雷器にも一部適用されている。

用語の定義

電気協同研究 第72巻 第4号「ポリマーがい管の設計基準・試験法の標準化」において,次のように用語が定義されている。

がいし(Insulator)

電気導体を絶縁して支持するための絶縁体とこれと一体に組み立てられた金具からなる絶縁支持物。

がい管(Hollow insulator)

両端の開いた管状の中空絶縁体。笠のあるものとないもの,取り付け用把持金具のあるものとないものがある。

ブッシング(Bushing)

壁またはタンクなどの隔壁を貫通する導体または導体の通路を持ち,これらを隔壁から絶縁し,支持する装置。

公称電圧 154 kV で用いられるガス遮断器のブッシングの写真を以下に示す。

写真 ブッシング

写真 ブッシング

ポリマーがいし(Composite insulator)

FRP をコア材に用い,FRP 表面をポリマー材料(EPDM やシリコーンゴム)で被覆した架空電線路用として設計されたがいし。

ポリマーがい管(Composite hollow insulator)

FRP をコア材に用い,FRP 表面をポリマー材料(EPDM やシリコーンゴム)で被覆したがい管(中空絶縁体)。

ポリマーブッシング(Composite bushing)

絶縁体がポリマーがい管で構成されたブッシング。

ポリマーがい管を用いたポリマーがい管や,エポキシブッシングの表面にシリコーンゴムを直接モールドしたダイレクトモールド形のブッシングの総称。

公称電圧 500 kV の線路引込で用いられるポリマーブッシングの写真を以下に示す。

写真 ポリマーブッシング

写真 ポリマーブッシング

参考文献

  • 電気協同研究 第72巻 第4号「ポリマーがい管の設計基準・試験法の標準化」
  • 平成24年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 電力 問4

更新履歴

  • 2021年12月15日 新規作成