目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

過去,電気主任技術者試験に出題された問題を基に,解説ノートを作成しています。

ソフトウェア開発におけるプログラムテスト方法

ソフトウェア開発には,いくつかのプロセスモデルがある。

要求定義,設計,実装(プログラミング),テストなどの工程を上流工程から下流工程へ逐次的に遂行していくウォータフォールモデルにおいて,開発者のプログラムテストは,システムの最も小さな構成単位であるモジュールの単体テストから開始し,結合テストシステムテストへとボトムアップ的に行う。

しかしこの進め方においては,最上流の要求定義に起因する欠陥が,最後のシステムテストの段階にならないと検出されないという構造的問題がある。

この開発リスクを回避するために,現在では比較的短時間で分析や設計,評価を繰り返し行う反復的なプロセスモデルも用いられている。

テスト工程では,静的解析ツールを用いたプログラム構造解析も行われるが,実行による正しさを確認するためには,実際にソフトウェアを実行環境で動作させる必要がある。

単体テストの場面では,プログラムの一部モジュールだけを実行可能なようにテスト環境を整えなければならないため,本来のプログラムに代わって,被テストも受ウールを模擬的に呼び出すドライバや被テストモジュールから呼び出され模擬的な応答をするスタブを準備することが行われる。

テストを網羅的に行うためには,初めの段階ではプログラムの内部構造に基づいてテスト項目を選ぶ方法で行われる。

その後,結合テストシステムテストと進み,対象のプログラム量が大きくなるに従って,内部構造には関知せずに,インターフェースの仕様からテスト項目を選ぶブラックボックステストの比重が大きくなる。

参考文献

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  • 2022年1月27日 新規作成

ネットワーク通信における LAN 中継機器

ネットワーク内には,端末となるコンピュータの他に,通信回線を延長したり制御したりするための各種中継機器が用いられている。

コンピュータネットワークの LAN(Local Area Network)機器は,OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルの各層に対応させた機能で分類することができる。

主要な LAN 機器として次のものがある。

リピータ

リピータは,伝送路で減衰した信号を増幅,補正して,さらに遠方まで伝送するための機器で,OSI 参照モデルの物理層の中継を行う。

この機器は,信号の解釈をするものではなく,アドレスを参照した制御機能をもたない。

ブリッジ

ブリッジは,複数の LAN を接続する機器であり,OSI 参照モデルのデータリンク層の中継を行う。

具体的には,データが送られてくると,送信先MAC アドレス(Media Access Control address)が含まれる LAN にだけデータを送るアドレスフィルタリング機能を備えている。

代表的な機器としてスイッチングハブがある。

物理層データリンク層の一部を定義した IEEE 802.11 関連規格があり,これに対応した無線中継機器を利用することで,Wi-Fi による LAN への無線接続ができる。

ルータ

ルータは,ブリッジと同様に複数の LAN を接続する機器であり,OSI 参照モデルのネットワーク層での中継を行う。

送られてきたデータの IP アドレス(Internet Protocol address)を読み取り,経路選択(ルーティング)を行う。

この階層で用いるアドレスは DHCP サーバを用いることで自動的にクライアントへ割り当てられるため,利用者はコンピュータをネットワークに接続しただけで通信環境を整えることができる。

ゲートウェイ

OSI 参照モデルの第 4 層にて,異なるプロトコルで動作している他のシステムと接続するために,プロトコル変換をする装置である。

参考 OSI 参照モデル

OSI 基本参照モデルは豊富な機能が盛り込まれ,国際的な標準として決められているが,あくまでも “参照となるモデル” である。現在の LAN やインターネットでは,OSI 基本参照モデルを簡略化した TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使われ,事実上の標準規格となっている。

表 OSI 基本参照モデルと TCP/IP の階層の対応
OSI 基本参照モデル TCP/IP
7 アプリケーション層 アプリケーション層
6 プレゼンテーション層
5 セッション層
4 トランスポート層 トランスポート層TCP 層)
3 ネットワーク層 インターネット層(IP 層)
2 データリンク層 ネットワークインターフェース相
1 物理層

参考文献

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  • 2022年1月26日 新規作成

ルミネセンス

ルミネセンス(luminescence)とは,物質を構成する原子,分子,イオン,電子などが,外部からのエネルギーを吸収して,励起,イオン化又は加速された後,そのエネルギーを放出するときに発光する現象をいう。

ルミネセンスの種類

ルミネセンスの種類には,放電発光,ホトルミネセンス,カソードルミネセンス,エレクトロルミネセンス(電解発光),化学ルミネセンスがある。

放電発光

放電発光は,放電中で励起原子や分子が作られ,その遷移に伴い発光する現象であり,各種放電ランプがこれに当たる。

フォトルミネセンス

フォトルミネセンス(Photoluminescence : PL)は,ある種類の物質に光を照射した際に,照射光とは別の光を放出することであり,その物質中の電子が照射光で励起され,そのエネルギーを放出する際に光を放出する現象である。

物質が X 線,紫外放射,可視放射,赤外放射などを受けたときにそのエネルギーを吸収し,通常は吸収した波長よりも長波長の放射エネルギーを放出して発光する現象である。

蛍光ランプなどの蛍光灯がこれにあたる。

カソードルミネセンス

カソードルミネセンス(Cathodoluminescence : CL)は,励起に電子線を用いた場合の発光で,CRT の蛍光体がこれに当たる。

エレクトロルミネセンス(電界発光)

エレクトロルミネセンス(Electroluminescence : EL)は,物質に直接電極を付けて電界を印加して発光させる現象であり,真性 EL や発光ダイオードなどがこれに当たる。

注入形 EL と真性 EL とに区別される。

注入形 EL

注入形 EL は,電界を印加することによって電子及び正孔を注入し,その再結合過程で発光する現象である。

真性 EL

真性 EL は,蛍光体を分散させた薄い誘電体をサンドイッチ状に挟んだ電極両端に電圧を印加することによって発光する現象である。

化学ルミネセンス

化学ルミネセンスは,化学反応により励起状態を形成し発光させるものであり,身近なものではホタルの光やケミカルライトがある。

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  • 2022年1月25日 新規作成

一次電池

一次電池とは,直流電力の放電のみができる電池(化学電池)であり,二次電池に対するそれ以外の電池のことである。

二次電池が登場した際にレトロニムとして区分された呼称である。

一次電池には,マンガン乾電池アルカリマンガン乾電池などがあるが,近年主流となっているのは,アルカリマンガン乾電池である。

一次電池の構成要素
一次電池 正極 負極 電解質
マンガン乾電池 二酸化マンガン 亜鉛 塩化亜鉛
アルカリマンガン電池 二酸化マンガン 亜鉛 水酸化カリウム

マンガン乾電池

マンガン乾電池は,一次電池の一種で,正極の減極剤(復極剤)として二酸化マンガン,負極として亜鉛を用いたものである。

アルカリマンガン乾電池

アルカリマンガン乾電池は負極に亜鉛粉,正極に二酸化マンガン,電解液に水酸化カリウム水溶液を用いた公称電圧 1.5 V の一次電池である。

あるアルカリマンガン乾電池を 1 000 mA の定電流でセル電圧が所定の終止電圧になるまで放電したとき,通電電気量が 6 000 mA·h,電気量が 6.60 W·h であった。

このとき,放電に要した時間は 6 h,1.1 V となる。

放電で水酸化亜鉛(Zn(OH)2)のみが生成されるとすると,その質量は 11.1 g である。

ただし,亜鉛,酸素及び水素の原子量をそれぞれ 65.38,16.00 及び 1.01,ファラデー定数を 26.80 A·h/mol とする。

放電で生成される水酸化亜鉛の質量の計算

通電中の電流の大きさは 1 [A](6 000 mA·h ÷ 6 h),水酸化亜鉛 1 mol あたりの質量は 99.4 [g/mol](65.38 + (16.00 + 1.01) × 2)である。

また,反応電子数は 2 である。

よって,放電で生成される水酸化亜鉛の質量は,(電気化学反応において,流れる電気量は反応に関与する電子数と物質のモル数に比例する「ファラデーの電気分解」の法則に基づき)次式で求められる。

1 [A] × 6 [h] ÷ 26.80 [A·h/mol] × 99.4 [g/mol] ÷ 2 = 11.126 [g]

参考文献

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  • 2021年1月24日 新規作成
  • 2021年1月25日 一次電池の構成要素の表,放電で生成される水酸化亜鉛の質量を追加

磁石発電機と磁石電動機

本稿では,界磁磁極に永久磁石を使用した磁石発電機(permanent magnet generator)と磁石電動機(permanent magnet motor)について述べる。

磁石電動機には,磁石直流電動機と磁石同期電動機がある。

同期電動機の回転子(界磁)は電磁石が一般的であるが,界磁に永久磁石を用いたもの(永久磁石同期電動機。以下,PM モータという)と回転子が鉄心のみで構成されたもの(リラクタンスモータ)もある。

PM モータは,回転子に永久磁石を配置しているため,電磁石を用いる方式に比べて励磁装置が必要なく,かご形誘導電動機と同様にシンプルな構造となる。

PM モータは回転子への磁石の配置方法により,表面磁石形(SPM : surface permanent magnetic)と埋込磁石形(IPM : interior permanent magnet)の二種類に分けられる。

磁石の配置方法

表面磁石形(SPM)

ロータ外周に永久磁石が貼り付けられたタイプを表面磁石型(SPM)と呼ぶ。

SPM は磁石の自足を有効活用できるので高トルクでトルクリプルの少ないモータであり,可変速ドライブを行う場合に制御性,応答性の良いモータである。しかし,高速回転時に磁石の剥がれや飛散の可能性があり,回転子外周に非磁性体の保護管を必要とする。

一般に,表面磁石構造では,永久磁石の透磁率が真空の透磁率に対してほぼ等しいため,回転子の位置によって磁気抵抗は変化しない。

したがって,$d$ 軸インダクタンス $L_d$ と $q$ 軸インダクタンス $L_q$ とが等しい非突極性を示す。

埋込磁石形(IPM)

ロータの内側に永久磁石が埋め込まれたタイプを埋込磁石型(IPM)と呼ぶ。

IPM は磁石が回転子鉄心内部にあるので,回転子鉄心は高速回転時の磁石を保護しているだけでなく,その構造によってリラクタンストルクも得られ,運転速度領域を広くとれる利点がある。

しかしその反面,磁石の磁束の有効活用の面では SPM に比べ劣り,磁極位置によるトルクリプルも増加する。

埋込磁石構造では $d$ 軸方向の磁路には永久磁束が存在するが,$q$ 軸方向の磁路は鉄心のみとなるので,回転子の位置によって磁気抵抗が変化する。

すなわち,$d$ 軸,$q$ 軸インダクタンスの関係は $L_d \lt L_q$ となり,一般の巻線界磁形同期電動機とは逆の突極性(逆突極性)を示すことになる。

したがって,このタイプの電動機ではマグネットトルクに加えてリラクタンストルクも利用できる。

このため,電機子電流を一定とした場合,両者の和で表される総合トルクは $q$ 軸からの電流位相(進み)に依存し,トルクが最大となる電流位相が存在する。一方,端子電圧は電流位相(進み)の増加に伴う電機子反作用により減少する。

PM モータの用途

PM モータは近年発達の著しいネオジム合金等の希土類永久磁石を用いることで小形・軽量となる利点があることから,家庭用機器,OA 機器,電気自動車などに多く用いられてきたが,最近では小形軽量であることを活かし鉄道車両用の大出力機への開発も進められている。

PM モータの可変速運転は,可変電圧・可変周波数の電力変換装置と組み合わせて構成される。このうち高性能な精密可変速運転を目的とするベクトル制御では,回転子の角度を検出し 1 台のインバータで 1 台の PM モータを駆動するのが原則となる。

参考文献

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  • 2022年1月23日 新規作成
  • 2022年1月26日 参考文献に「平成18年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問5」を追加

マイクロコンピュータのプログラム言語

マイクロコンピュータのプログラム命令は,メモリから命令レジスタに読み込まれた後,命令デコーダで解読されて制御回路へ伝達される。

このようなマイクロコンピュータが直接理解できるプログラム命令は,2 進数で記述された機械語である。機械語を扱うときには,2 進数 4 桁分を表す 16 進数を用いることが多い。

一般的に機械語命令は,基本動作を表す命令コードと命令の対象となる数値やデータのアドレスなどを表現するオペランド*1によって構成される。

例えば,相対アドレスを指定する場合は,プログラムカウンタの値にオペランドによって指定した値を加えて,目的のアドレスを算出する。

停止命令や無操作命令など,一部の命令ではオペランドの無い命令もある。

アセンブラ*2は,機械語とほぼ 1 対 1 に対応したニモニックを用いる言語で,機械語よりもプログラムの内容が分かりやすい。

機械語アセンブラを低水準言語という。

人間が理解しやすいように記述した原始プログラムを一括して機械語などの低水準言語に変換する言語を総称して,コンパイラ*3言語という。

この変換作業によって原始プログラムは目的プログラムとなり,さらに別の目的プログラムやライブラリと結合させて実行可能プログラムとなる。

実行時に原始プログラムを一文ずつ解釈し,逐次実行していく言語としてインタプリタ言語がある。

この言語は,コンパイラ言語に対してプログラム変更手順が容易であるが,実行速度は遅くなる。

低水準言語(low-level programming language)

プログラミング言語のうち、コンピュータが直接解釈・実行できる機械語や、機械語に近い言語の総称。

「低級」「低水準」とは劣った言語であることを意味するのではなく、ハードウェアに近いことを意味する。

機械語(machine language)

機械語とは、コンピュータのマイクロプロセッサ(CPU/MPU)が直接解釈・実行できる命令コードの体系。0と1を並べたビット列として表され、人間が直に読み書きしやすい形式ではない。

アセンブリ言語(assembly language)

アセンブリ言語とは、プログラミング言語の類型の一つで、コンピュータのCPU(MPU/マイクロプロセッサ)が直接解釈・実行できる機械語マシン語)と正確に対応する命令語で構成された言語。

高水準言語(high-level programming language)

高級言語とは、プログラミング言語の分類の一つで、抽象的な語彙や記法、構文などを用いて処理を記述することができる言語の総称。

コンパイラ言語(compiler language)

コンパイラ言語とは、高水準プログラミング言語の分類の一つで、公式の、あるいは主要な実行環境がコンパイラ(compiler)であるような言語のこと。

インタプリタ言語(interpretive language)

インタプリタ言語とは、高水準プログラミング言語の分類の一つで、公式の、あるいは主要な実行環境がインタプリタinterpreter)であるような言語のこと。

参考文献

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  • 2022年1月22日 新規作成
  • 2022年1月25日 言語の説明を追加

*1:オペランド(operand)とは,数式を構成する要素のうち,演算の対象となる値や変数,定数のこと。プログラミングの分野ではこれに加えて,プログラム中の個々の命令・処理の対象となるデータや,データの所在情報などのこともオペランドという。

*2:アセンブラとは,コンピュータ,マイクロコントローラ,その他のプログラム可能な機器を動作させるための機械語を人間にわかりやすい形で記述する代表的な低水準言語である。

*3:コンパイラ(compiler)とは,コンピュータ・プログラミング言語の処理系の一種で,高水準言語によるソースコードから,機械語あるいは基のプログラムよりも低い水準のコードに変換(コンパイル)するプログラムである。

放射と光

放射とは,電磁波あるいは粒子の形によって伝搬するエネルギーのことである。

電磁波の波長範囲は,10-16 ~ 108 m であり,その波長によって宇宙線ガンマ線,X 線,紫外放射,可視放射(光),赤外放射,電波などに区分され,それぞれ特有の性質を持っている。

このうち人の目に入って,明るさの感覚を乗じさせる 380 ~ 780 nm の波長範囲を可視放射(光)という。

単位時間にある面を通過する放射エネルギーの量を放射束という。単位はワット [W] 又はジュール毎秒 [J/s] であり,物理量である。

放射束に明所視下における人の目の感度(分光視感効率)を乗じた量 $\Phi$ を光束といい,単位はルーメン [lm] である。

これは,物理量に人の目の感度を乗じた量であることから,心理物理量と呼ばれる。

また,この $\Phi$ は,ある放射体からの分光放射束を $\Phi_\text{e}(\lambda)$ [W/nm],標準分光視感効率を $V(\lambda)$ とすれば,次式より求まる。

\[ \Phi = K_\text{m}\int^{\lambda_2}_{\lambda_1} V(\lambda) \Phi_\text{e}(\lambda) \text{d}\lambda \]

ここで,$\lambda$ は波長 [nm],$\lambda_1$ から $\lambda_2$ までは可視放射(光)の波長範囲,$K_\text{m}$ は最大視感効果度であり,その値は約 555 nm において約 683 lm/W である。

明るさ

日常用語の "明るさ" は,非常に多様な意味をもち,文脈において対応する専門的概念が相当に異なっている。

事柄を正しく表すためには,用語を正しく使う必要がある。

光によって生じる "明るさ" は,学術的には「ある面から発している光の強弱の見え方の基礎になる視感覚の属性」と定義され,主として関連する測光量は輝度である。

すなわち,視対象における光の状態をいうのではなく,人が感じる効果(感覚量)を指している。

 

ある面の輝度は,その面のある方向への光度をその見かけの面積で割った値で与えられる。

この絶対値が一定であっても,"明るさ" は,目の順応状態,周囲との対比などの視覚条件によって異なってくる。

 

視覚条件が一定な状態において,面から発するある方向への光度が同じ値である場合には,面の見かけの面積が大きいときと比較して,小さいときには明るく感じられる。

また,どの方向から見ても面の輝度が等しく一様に見える面を均等拡散面という。薄曇りの空がその代表例である。

このような面は,その法線方向の光度 $I_\text{n}$ に対して $\theta$ 方向の光度 $I(\theta)$ は,

\[ I(\theta)=I_\text{n}\cos\theta \]

の関係があり,これをランベルトの余弦法則(Lambert's cosine law)という。

参考文献

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  • 2022年1月21日 新規作成