次の文章は,低圧電路の絶縁監視に関する記述である。
「電気設備技術基準」の規定により,原則的に,電路は大地から絶縁することとなっている。
高圧受電の自家用電気工作物の低圧電路については,その絶縁状態を監視する技術が実用化され,経済産業省の告示及び内規にもそれを使用した場合の点検頻度が規定されたことから,以降広く活用されている。
この低圧電路の絶縁監視技術の代表的な方式として,主変圧器の二次側低圧電路の B 種接地工事の接地線に流れる漏洩電流($I_0$)を検出することにより常時絶縁監視を可能とする $I_0$ 方式がある。
しかし,対地静電容量が大きい場合,対地静電容量による電流 $I_\text{0c}$ が大きくなり,電路に絶縁不良がなくとも,漏えい電流 $I_0$ が大きくなるという課題がある。
このため,漏洩電流($I_0$)のうち,絶縁抵抗による電流成分($I_\text{0r}$)のみを検出する $I_\text{0r}$ 方式も実用化されている。
なお,$I_0$ 方式も $I_\text{0r}$ 方式も,① 接地相の絶縁劣化が検出できない,② 複数の非接地相の漏洩電流が打ち消し合う場合に検出できない,という共通の課題がある。
これらの課題に対しては,$I_\text{gr}$ 方式という絶縁監視技術が開発されている。
これは,商用周波数に対して異なる周波数の監視電源電圧を B 種接地工事の接地線を介して加え,電路と対地間に流れる漏洩電流のうちから監視電源による電流($I_\text{g}$)を取り出し,さらに対地絶縁抵抗による電流成分($I_\text{gr}$)のみを検出する方式である。
参考文献
- 令和5年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問4「低圧電路の絶縁監視」
更新履歴
- 2023年9月5日 新規作成
- 2023年10月14日 カテゴリーを設定,タグを追加