電気設備は,感電,火災その他人体に危害を及ぼし,又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない。
変成器内の巻線と当該変成器内のほかの巻線との間の絶縁性能は,事故時に想定される異常電圧を考慮し,絶縁破壊による危険のおそれがないものでなければならない。
電線,支線,架空地線,弱電流電線等その他の電気設備の保安のために施設する線は,通常の使用状態において断線のおそれがないように施設しなければならない。
高圧又は特別高圧の電気機械器具は,取扱者以外の者が容易に触れるおそれがないように施設しなければならない。
ただし,接触による危険のおそれがない場合は,この限りでない。
電気設備に接地を施す場合は,電流が安全かつ確実に大地に通ずることができるようにしなければならない。
電路には,地絡が生じた場合に,電線若しくは電気機械器具の損傷,感電又は火災のおそれがないよう,地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。
ただし,電気機械器具を乾燥した場所に施設する等地絡による危険のおそれがない場合は,この限りでない。
高圧又は特別高圧の電気設備は,その損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないように施設しなければならない。
「電気設備技術基準」に基づく絶縁
次の文章は,「電気設備技術基準」に基づく絶縁に関する記述である。
- 変成器内の巻線と当該変成器内の他の巻線との間の絶縁性能は,事故時に想定される異常電圧を考慮し,絶縁破壊による危険のおそれがないものでなければならない。
- 地中電線(地中電線路の電線)には,感電のおそれがないよう,使用電圧に応じた絶縁性能を有するケーブルを使用しなければならない。
- 電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は,開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに,使用電圧の区分に応じて規定される値以上でなければならない。
電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は,開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに,次の表の左欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ,それぞれ同表の右欄に掲げる値以上でなければならない。
電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗値 | |
---|---|---|
300 V 以下 | 対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧,非接地式電路においては電線間の電圧をいう。)が 150 V 以下の場合 | 0.1 MΩ |
その他の場合 | 0.2 MΩ | |
300 Vを超えるもの | 0.4 MΩ |
過電流遮断器の施設
電路の必要な箇所には,過電流による過熱焼損から電線及び電気機械器具を保護し,かつ,火災の発生を防止できるよう,過電流遮断器を施設しなければならない。
ここで過電流遮断器とは,高圧及び特別高圧では,ヒューズ及び遮断器が該当する。
- 過電流遮断器として低圧電路に使用する配線用遮断器は,定格電流の 1 倍の電流で自動的に動作しないこと。
- 低圧電路に使用する過電流遮断器は,これを施設する箇所を通過する短絡電流を遮断する能力を有するものであること。ただし,当該箇所を通過する最大短絡電流が 10 000 [A] を超える場合において,過電流遮断器として 10 000 [A] 以上の短絡電流を遮断する能力を有する配線用遮断器を施設し,当該箇所より電源側の電路に当該配線用遮断器の短絡電流を遮断する能力を超え,当該最大短絡電流以下の短絡電流を当該配線用遮断器より早く,又は同時に遮断する能力を有する過電流遮断器を施設するときは,この限りでない。
- 過電流遮断器として施設するヒューズのうち,高圧電路に用いる非包装ヒューズは,定格電流の 1.25 倍の電流に耐え,かつ,2 倍の電流で 2 分以内に溶断するものであること。
- 高圧又は特別高圧電路中の電路に短絡を生じたときに作動する過電流遮断器は,これを施設する箇所を通過する短絡電流を遮断する能力を有するものであること。
過電流遮断器は,その作動に伴いその開閉状態を表示する装置を有するものであること。ただし,その開閉状態を容易に確認できるものは,この限りでない。
参考文献
- 令和6年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問3「電路の絶縁性能」
- 令和2年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問5「「電気設備技術基準」に基づく絶縁」
- 平成30年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 法規 問5
- 平成29年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 法規 問6
- 平成21年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 法規 問1