目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

グリッドコード

グリッドコードについて解説する。

グリッドコードについて

グリッドコード(もしくはネットワークコード)は通常,たった一つの文書で示されるものではなく,複数の法令や民間規程などのセットからなる一連のルールである。

国際再生可能エネルギー機関 (IRENA : International Renewable Energy Agency) が 2016 年に発行した報告書において,以下のように包括的に用語の定義が記されている。

広い意味でのグリッドコードは,電力システムおよび電力市場の運用ルールを定めるものであり,これによってネットワーク事業者,発電事業者,電力供給者,電力消費者が市場全体で効果的に機能できるようになる。グリッドコードは運用の安定性と供給の安定性を確保し,卸市場が十分に機能することに貢献する。接続コード,運用コード,計画コード,市場コードなどがグリッドコードの一例である。

IEA によるグリッドコード

国際エネルギー機関 (IEA : International Energy Agency)  によれば,グリッドコードとは「電力システムや市場に接続された資産が遵守しなければならない幅広い一連のルールを網羅した包括的な条件であり,その制定目的は費用対効果と信頼性の高い電力システムを支援すること」であって,狭義には「接続コード」を指す。

グリッドコードは,以下の 4 つで構成される。

  1. 接続コード (Connection code)
  2. 運用コード (Operation code)
  3. 計画コード (Planning code)
  4. 市場コード (Power market code)

海外のグリッドコード策定プロセスは国ごとに異なるが,大枠として送配電事業者が提案し,規制機関によって承認されるケースが多い。

日本におけるグリッドコード

日本では,電気事業法第17条に規定する託送供給義務等(オープンアクセス)の下,系統連系に係る一連の規程(「送配電等業務指針」,「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」,「系統連系規程」,「系統連系技術要件」,「系統アクセスルール」)に基づいて,再エネを含む発電事業者と一般送配電事業者の電力量調整供給及び電気的接続が確保されている。

表 各規程の関係性
  法令に基づく規程 ガイドライン
国等 (電気事業法)
送配電等業務指針
電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン
事業者 系統連系技術要件(託送供給等約款別冊) 系統連系規程
系統アクセスルール
電気事業法 第17条 託送供給義務等 4 項

電気事業法では,正当な理由がなければ発電事業者からの接続を拒んではならないと定められている。

一般送配電事業者は、発電等用電気工作物を維持し、及び運用し、又は維持し、及び運用しようとする者から、当該発電等用電気工作物と当該一般送配電事業者が維持し、及び運用する電線路とを電気的に接続することを求められたときは、当該発電等用電気工作物が当該電線路の機能に電気的又は磁気的な障害を与えるおそれがあるときその他正当な理由がなければ、当該接続を拒んではならない。

グリッドコード検討会におけるグリッドコードの定義

グリッドコード検討会におけるグリッドコードとは,再エネ大量導入に伴って必要となる「系統に接続される電源が従うべきルール」と定義されている。

このルールは技術的仕様から構成され,電力システムの信頼性や経済性を保持することを目的とする。

「系統に接続される電源が従うべきルール」は,一般送配電事業者と発電事業者間で託送供給に関する契約において,発電事業者が従う内容であり,「系統連系技術要件(託送供給等約款別冊)」に規定されるものが中心となる。

グリッドコード検討における課題

グリッドコード検討における課題は,再エネ出力制御の合理化,電力品質の確保の 2 つに大別される。

課題 1 : 再エネ出力制御の合理化

  • 需給バランス調整のため,再エネの導入が急速に進んでいるエリアから全国レベルに再エネの出力制御が広がる可能性がある。
  • 再エネ導入のため混雑管理の系統運用にシフトしつつあり,「火力の柔軟性」「再エネの調整機能」をバランスよく活用した出力制御の合理化のための方策が必要である。

課題 2 : 電力品質の確保

  • 自然変動再エネの導入拡大に伴い,急激な出力変動や小刻みな出力変動による周波数変動の緩和,電圧変動等への対策として,「火力の柔軟性」,「再エネ自身の調整機能」等高度な対応が求められている。
  • また,再エネ導入が進んでいるエリアでの電圧フリッカや大規模電源脱落時に伴う周波数変動による再エネ脱落等が国内で既に発生しているが,今後,広域的に発生することを回避し,需要家への安定した電気の供給対策を講じることが必要である。

electrical-engineer.hatenablog.jp

参考文献

  • 資源エネルギー庁,「グリッドコードの体系及び検討の進め方」,2019年3月
  • 安田陽,「再生可能エネルギー技術政策論 日本特有の問題点の整理と課題・解決法」,インプレス,2024年9月6日

更新履歴

  • 2025年8月9日 新規作成
  • 2025年8月11日 記事の概要,検索エンジン向けタイトル,SNS 向けタイトルを追加
  • 2025年11月9日 参考文献に「再生可能エネルギー技術政策論 日本特有の問題点の整理と課題・解決法」を追加
  • 2026年3月7日 電気事業法 第17条 託送供給義務等を追加