目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

電路の絶縁及び接地

電気設備の技術基準の解釈 第1章 総則 第3節 電路の絶縁及び接地について述べる。

発電所又は変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施設する低圧交流母線の電路は,最大使用電圧の 1.5 倍の交流電圧( 500 V 未満となる場合は,500 V )を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては,心線相互間及び心線と大地との間)に連続して 10 分間加えたとき,これに耐える性能を有すること。

最大使用電圧が 22 000 V の同期発電機は,27 500 V の交流電圧,又は44 000 V の直流電圧を巻線と大地との間に連続して 10 分間加えたとき,これに耐える性能を有すること。

大地との間の電気抵抗値が 2 Ω 以下の値を保っている建物の鉄骨その他の金属体は,非接地式高圧電路に施設する機械器具等に施す A 種接地工事及び非接地式高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器を施す B 種接地工事の接地極に使用することができる。

変圧器の安定巻線又は遊休巻線を異常電圧から保護するためにその巻線に接地を施す場合には,接地工事は, A 種接地工事によること。

接地工事の種類および施設方法

A 種接地工事

A 種接地工事は,特別高圧計器用変成器の二次側電路,高圧又は特別高圧用機器の鉄台等の接地等,高電圧の侵入のおそれがあり,かつ,危険度の大きい場合に要求されるもので,接地抵抗値は,10 [Ω] 以下としている。

B 種接地工事

B 種接地工事は,高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路の混触による危険を防止するため,高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器の低圧側の電路の保護のために施設されるものである。

変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の 1 線地絡電流のアンペア数で 150 (変圧器の高圧側の電路又は使用電圧が 35 000 V 以下の特別高圧側の電路と低圧側の電路との混触により低圧電路の対地電圧が 150 V を超えた場合に,1 秒を超え 2 秒以内に自動的に高圧電路又は使用電圧が 35 000 V 以下の特別高圧電路を遮断する装置を設けるときは 300,1 秒以内に自動的に高圧電路又は使用電圧が 35 000 V 以下の特別高圧電路を遮断する装置を設けるときは 600)を除した値に等しいオーム数

B 種接地工事の考え方

B 種接地工事の接地抵抗値は混触の際にB種接地工事の接地線に高圧電路又は特別高圧電路の地絡電流が流れた場合の電位上昇による低圧側電路の絶縁破壊を防止するため,接地点の電位が 150 [V](一次側が高圧又は 35 [kV] 以下の特別高圧電路であって,150 [V] を超えたとき 1 秒を超え 2 秒以内に自動的に当該電路を遮断する装置を設けるときは 300 [V],1 秒以内に自動的に当該電路を遮断する装置を設けるときは 600 [V])を超えないようにしたものである。

C 種接地工事

10 Ω(低圧電路において,当該電路に地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは,500 Ω

D 種接地工事

100 Ω (低圧電路において,当該電路に地絡を生じた場合に 0.5 秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは,500 Ω

施設方法

A 種接地工事又は B 種接地工事は,発電所又は変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所において,故障の際に,その近傍の大地との電位差により,人若しくは家畜又は他の工作物に危険を及ぼさないように施設するときを除いて,接地線を人が触れるおそれがある場所に施設する場合,次のように施設しなければならない。

  • 接地極は,地下 75 [cm] 以上の深さに埋設すること。
  • 接地線の地下 75 [cm] から地表上 2.0 [m] までの部分は,電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管(厚さ 2 [mm] 未満の合成樹脂製電線管及び CD 管を除く。)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと。

保安上又は機能上必要な場合における電路の接地

電路の保護装置の確実な動作の確保,異常電圧の抑制又は対地電圧の低下を図るために必要な場合は,次に掲げる場所に接地を施すことができる。

  • 電路の中性点(使用電圧が 300 V 以下の電路において中性点に接地を施し難いときは,電路の一端子
  • 特別高圧の直流電路
  • 燃料電池の電路又はこれに接続する直流電路

変圧器の安定巻線若しくは遊休巻線又は電圧調整器の内蔵巻線を異常電圧から保護するために必要な場合は,その巻線に接地を施すことができる。この場合の接地工事は,A 種接地工事によること。

需要場所の引込口付近において,地中に埋設されている建物の鉄骨であって,大地との間の電気抵抗値が 3 Ω 以下の値を保っているものがある場合は,これを接地極に使用して,B 種接地工事を施した低圧電路の中性線又は接地側電線に,高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止のために施す接地に加えて接地工事を施すことができる。

electrical-engineer.hatenablog.jp

電子機器に接続する使用電圧が 150 V 以下の電路,その他機能上必要な場所において,電路に接地を施すことにより,感電,火災その他の危険を生じることのない場合には,電路に接地を施すことができる。

参考文献

更新履歴

  • 2022年4月13日 新規作成
  • 2022年4月20日 カテゴリーに「電気設備技術基準の解釈」を追加
  • 2022年4月23日 参考文献に「平成18年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 法規 問6」を追加
  • 2022年7月31日 参考文献に「令和元年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問5」を追加
  • 2022年8月14日 参考文献に「平成21年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問1」を追加