目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

電力ケーブルの損失低減

地中送電線路などに使用される各種電力ケーブルの損失低減について述べる。

交流導体抵抗の低減

ケーブルの導体損失の主要な低減方策としては,導体の大サイズ化による交流導体抵抗の低減があげられる。

しかし,導体の大サイズ化に伴い表皮効果によって,この効果は小さくなるため,これを抑えるために大サイズ導体では分割圧縮導体が採用されている。

また,最近では,素線絶縁導体も開発されている。

誘電損失の低減

ケーブルの誘電損失は,誘電率と誘電正接に比例し,電圧の 2 乗に比例して増大するため,特に超高圧線路では問題となってくる。

このため,最近では超高圧地中送電線路においては,誘電率と誘電正接が小さい CV ケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)及び低損失 OF ケーブル等が採用されてきている。

OF ケーブル

OF ケーブルは,絶縁体として絶縁紙と絶縁油を組み合わせた油浸紙絶縁ケーブルである。OF ケーブルには油通路が設けられており,絶縁油の加圧によりボイドの発生を抑制して絶縁強度を確保するための給油設備が必要である。

OF ケーブルは,油圧の常時監視によって金属シースや鋼管の欠陥,外傷などに起因する漏油を検知することで,油圧の異常低下による絶縁破壊事故の未然防止を図ることができる。

CV ケーブル

CV ケーブルは,OF ケーブルと比較して給油設備が不要であり,保守性に優れている。一方で,水トリーの発生による絶縁劣化があるため,CV ケーブルには金属シースや遮水層を設ける場合がある。

CVT ケーブル

CVT ケーブルは,単心 CV ケーブル 3 条をより合わせたトリプレックス形 CV ケーブルであり,3 心共通シース形 CV ケーブルと比較してケーブルの熱抵抗が小さいため電流容量を大きくできるとともに,ケーブルの接続作業性がよい。

シース損失低減

ケーブルのシース損失には,シース回路損失とシース渦電流損失があり,前者の対策としては,単心ケーブルのクロスボンド接地があげられる。

また,後者の対策としては,適正なケーブル配置等により対処している。

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参考文献

更新履歴

  • 2022年6月29日 新規作成
  • 2025年9月14日 OF ケーブル,CV ケーブル,CVT ケーブルの説明を追加