水車の振動は,水力的要因によるものと,機械的要因によるものとに大別される。
水力的要因によるものには,吸出管内の旋回流やキャビテーションによる振動,ランナとガイドベーンの干渉による振動,ランナ出口のカルマン渦による振動などがあげられる。
吸出管内の旋回流やキャビテーションによる振動は,吸出管内に給気することなどによりある程度軽減することができる。
ランナとガイドベーンの干渉による振動は,上カバー等の静止構造物に観測され,その周波数はランナ羽根数と回転数の積の整数倍に関係している。
この振動に対しては,各構造物の剛性を設計・製作段階において十分考慮する必要がある。
ランナ出口のカルマン渦による振動は,それがランナの固有振動数と共振した場合に異常振動となる。
機械的要因による振動としては,据え付け調整不良による振動,回転体のアンバランスによる振動,軸系・軸受支持体の剛性不足による振動などが考えられる。
これらの振動は,主軸の振動となって現れることが多い。
吸出し管内旋回流による振動
フランシス水車では,軽負荷時,過大負荷時にランナから吸出し管に入る旋回流となるが,特に軽負荷では中心の空洞部が吸出し管内を揺れ動き,サージングを生じ,振動の原因となる。
対策としては吸出し管上部から旋回流の低圧部に給気管により空気を送り込む方法が有効である。
カルマン渦による振動
フランシス水車やプロペラ水車のランナ羽根の出口側にカルマン渦が発生すると,その交番応力がランナを共振させ振動の原因となる。
ランナ羽根出口縁の形状を修正する,あるいは,ランナ羽根の羽根の間に支柱を入れ,固有振動数を変えるなどの対策をとる。
キャビテーションによる振動
ランナやガイドベーンに発生するキャビテーションによって振動を生ずる。
ランナやガイドベーンの形状を修正する。吸出し管や給気管を取り付けるなどの対策をとる。
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ランナ入口の圧力変動による振動
ランナ羽根とガイドベーンの枚数の組合せが適正でなかったり,間隔が狭すぎたりすると,ランナ入口で水圧脈動が大きく現れ振動の原因となる。
ランナ羽根の枚数を変更する,あるいは,ランナ羽根とガイドベーンの間隔を広げるなどの対策をとる。
参考文献
更新履歴
- 2022年6月28日 新規作成
- 2022年12月13日 参考文献に「平成16年度 第一種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問3」を追加