目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

汽力発電所の主要機器の緊急停止

汽力発電所の主要機器の緊急停止時の相互関係のうち,次の場合の機器のトリップの必要性とその理由について述べる。

ボイラ側事故時のタービン

貫流ボイラの場合,MFT(燃料トリップ)により燃料が遮断されて消火したときに残圧によるタービン負荷運転を継続すると,保有熱量が小さいので蒸気圧力および温度が低下してタービンに湿り蒸気が流入して損傷のおそれがある。

このため,MFT 後ただちにタービンをトリップする。

ドラムボイラの場合は,保有熱量が大きいのである程度の時間であればそのままタービンを運転継続するが,復旧に長時間を要する事故の場合はタービントリップする。

タービン側事故時の発電機

復水器真空度低下,排気室温度高,推力軸受損傷等のタービン事故でタービンの流入蒸気が遮断(タービントリップ)されると,発電機は原動機入力がなくなるので系統側と同期したまま電動機(モータリング)となって逆にタービンを駆動するようになる。

このため,タービン低圧車室排気部近傍の羽根などが摩擦熱によって過熱し,焼損の原因となるので,タービントリップと同時または短時間以内で発電機をトリップする。

発電機側事故時のタービン

発電機の内部故障または過電流で保護継電器が動作しトリップすると,タービンは無負荷となって急速に加速した後に調速機動作で速度調定率に応じた速度に落ち着くが,発電機事故は短時間で復旧する可能性は少なく,事故復旧のためには原動機であるタービンを停止しなければならないため,発電機の故障拡大防止の観点から,発電機トリップと同時にタービンの蒸気弁を全閉して,タービントリップにする。

参考文献

更新履歴

  • 2022年6月27日 新規作成