電力ケーブルを施設する場合,金属シースは安全対策から接地しているが,接地の方式にはいくつかあり,それぞれ特徴がある。
単心ケーブルを施設する場合,シースを片端接地するとシース回路損は生じないが,他端には接地点からの距離に応じてシースと大地の間に電位差が生じる。
この大きさは基本的には主回路電流と導体・シース間の相互インダクタンスから算出できる。
この対策として,必要により避雷器等を設置することになる。
シースを複数箇所で接地する方式では,シース電位はほとんどないが,シース回路損が発生し,送電容量は低下することになるので注意が必要である。
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長距離送電線では,単心ケーブルを何本もつなぎ合わせて必要こう長になるように施設する場合が多い。
この場合,シース電位がほとんどなくシース回路損が低減できるように,ケーブル接続箱で,ある相のシースを他相のシースに接続するクロスボンド方式が採用されている。
シース電位低減策としては,接地方式のほか,三相単心ケーブルの配列を工夫したりねん架する方式もある。
シース接地
シース接地は,シース電圧抑制のためにシースに施す接地である。
シースを接地すればシースに電源が流れ,シース回路損が発生する。
シース接地の方式はシース電圧の抑制とシース回路損の抑制の両方を考慮して決定される。
シース接地方式の例としては,次のようなものがある。
片端接地方式(一点接地方式)
片端接地方式は,片端をシース接地し,他端を開放する方式で,シース回路損は発生しないが,シース電圧が大きい。
ソリッドボンド方式
ソリッドボンド方式は,シースを 2 か所以上で接地する方式で,シース電圧はほとんど零であるが,シース回路損が大きい。
クロスボンド接地方式
クロスボンド接地方式は,長亘長の単身ケーブルで,シースを接続し 3 区間ごとに設置する方式。
3 区間でのシース電圧のベクトル和はほぼ零となり,シース回路損も低減できる。
参考文献
- E&M JOBS 用語辞典「シース接地」
- 平成18年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問3「交流回路における電力ケーブルの施設」
更新履歴
- 2022年6月11日 新規作成
- 2022年6月12日 シース接地の説明を追加