配電計画を立てるためには,まず将来の需要電力を正確に把握しなければならない。
もし,この想定が狂えば設備が無駄になったり,不足して,供給支障をきたすことになる。
また,配電方式を決めるためには,その地域における需要密度を適格に予測する必要がある。
需要内容
電力は生産即消費で貯蔵することができないため,電力需要を把握するためには単に 1 か月もしくは 1 年間の総使用量を予想するだけでは不十分で,1 年間の最大電力,さらに時々刻々の負荷の動きの負荷曲線を把握しておく必要がある。
需要諸係数
需要率
需要家の実際に起こる最大電力は設備容量より小さいのが風痛で,需要の種別・地域・期間によって相違するが,それぞれある一定の割合となる。
この最大需要電力と設備容量合計との百分率を需要率(demand factor)という。
需要率 = 最大需要電力 [kW] / 設備容量 [kW] × 100 [%]
この需要率は一般電灯需要家では 50 ~ 75 % 程度である。
不等率
需要家群・配電変圧器群あるいは配電幹線群などの同種類の負荷群において,各個の最大需要電力は同時刻に起こるものではなく,その発生時刻には時間的にずれがある。
このため各負荷を総括したときの最大需要電力は各個の最大需要電力の和より小さくなる。
この割合を示すものを不等率(diversity factor)といい,次式で表す。
不等率 = 各負荷の最大需要電力の和 / 総括したときの最大需要電力
都市部の不等率の概数例を示す。
負荷率
電気の負荷の使い方は種別・地域・時刻・季節などによって違ってくる。
この需要電力の変動の割合を負荷率(load factor)という。
需要家・配電幹線あるいは変電所などである期間の平均需要電力と最大需要電力との割合で示す。
負荷率 = ある期間中の平均需要電力 [kW] / その期間中の最大需要電力 [kW] × 100 [%]
負荷率を表す期間のとり方によって日負荷率・月負荷率・年負荷率がある。
負荷率の変遷
九電力会社全体の負荷率(年間負荷率)の変遷を示す。
- 1951年度 72.9 %
- 1969 年度 69.1 %
- 1973 年度 62.0 %(オイルショック)
- 1994 年度 55.0 %(最低値)
- 2008 年度 66.8 %
負荷率の低迷は,電気事業者にとって,原価高騰の大きな要因となる。
1994 年度以降,負荷率が上昇に転じたのは,ピーク平準化を目指す一連の料金制度の改定がある程度効果をあげたためだ。
また,1990 年代後半以降の時期には,昼間ピークの先鋭化にも歯止めがかかった。
これは,ピーク平準化を目指す料金制度改定が成果をあげたこと,生活の 24 時間化が進みコンビニエンスストア,ファミリーレストラン,ホテル等が急増して業務用電力の原単位が上昇に転じたこと,などによるものである。
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更新履歴
- 2023年1月13日 新規作成
- 2023年1月14日 参考文献に「電力改革――エネルギー政策の歴史的大転換」を追加