樹枝状配電方式の特徴、ループ切換の注意点、電圧維持対策、事故時の許容電流、22kV 配電の利点を体系的に解説。
電気主任技術者試験の学習者に役立つ内容をわかりやすくまとめています。
- 1. 樹枝状方式の特徴と信頼性向上策
- 2. 樹枝状高圧配電線のループ切換
- 3. 配電線路の電圧維持対策
- 4. 事故時の配電線の許容電流
- 5. 22 kV(33 kV)配電と 400 V 直接供給
- 6. 参考文献
- 7. 更新履歴
1. 樹枝状方式の特徴と信頼性向上策
一般に配電線路の形態としては,新規需要の発生に応じて幹線と分岐線を延長していくため,現在,樹枝状方式が架空配電系統で最も多い方式である。
この方式では,施設費は安価であるがそのままでは信頼度が低いため,通常,幹線は自動区分開閉器によって適当な区間に分割されており,配電線事故が発生した場合には,事故点を含む区間のみが選択的に遮断され,停電区間が限定される。
健全区間は連系開閉器を手動操作にて投入し,隣接配電線から供給を受けることが可能となる。
現状,樹枝状方式では,この様な多分割多連系で運用されることが多い。
また,最近では,供給信頼度の向上や,系統切換作業の業務効率化のため,これら開閉器類を自動遠隔制御し,負荷融通を行う配電自動化システム(distribution automation sysytem)も導入されている。
electrical-engineer.hatenablog.jp
1-2. 配電線路の開閉器類
- 配電線路用の開閉器は,主に配電線路の事故時又は作業時に,その部分だけを切り離すために使用される。
- 柱上開閉器には気中形,真空形,ガス形がある。操作方法は,手動操作による手動式と制御器による自動式がある。
- 高圧配電方式には,放射状方式(樹枝状方式),ループ方式(環状方式)などがある。ループ方式は結合開閉器を設置して線路を構成するので,放射状方式よりも建設費は高くなるものの,高い信頼度が得られるため負荷密度の高い地域に用いられる。
- 地中配電系統で使用するパッドマウント変圧器には,変圧器と共に開閉器などの機器が収納されている。
2. 樹枝状高圧配電線のループ切換
樹枝状高圧配電線でループ切換をするのは,無停電で系統を切り換えるためである。
連系用開閉器を投入してループにした場合,連系点両側の配電線の電圧や位相に差があると,過大な横流により,変電所の過電流継電器が動作して配電線用遮断器がトリップする場合がある。
このため,ループ切換を行う場合は,必要により軽負荷の時間帯に行うなどの配慮が必要である。
2-1. 太陽光発電連系配電線の昼間ループ切替時の考慮点
太陽光発電の逆潮流を考慮して切替後の電流・電圧を計算する必要がある。
具体的には,切替実施時期・時間の太陽光発電の逆潮流量やその変動を予測して,許容電流範囲・適正電圧範囲内に入るかの検討を行う。
3. 配電線路の電圧維持対策
配電線路の電圧維持の対策を示す。
- 負荷時タップ切換変圧器や負荷時電圧調整器で変電所の送り出し電圧を調整する。
- 力率改善用コンデンサを設置する。
- 太い配電線に張り替える。
- 柱上変圧器を負荷の中心に設置する。
electrical-engineer.hatenablog.jp
4. 事故時の配電線の許容電流
配電線は,隣接配電線事故発生時に事故配電線の健全区間の負荷の一部,又は全部を分担するため,切替余力を確保することが重要である。
隣接配電線事故発生時,健全な配電線路(融通元)から電力を融通する場合において,融通元の配電線では融通先の分の電流も流れることから,許容電流以上の電流が流れる場合がある。融通が必要となる時間は,事故復旧までであることから,設備の有効活用の観点より,許容電流に短時間許容電流を用いることが妥当である。
短時間許容電流は,継続時間が長くなく,頻度があまり高くなければ流すことができる電流で,継続時間は数分~数時間程度である。
5. 22 kV(33 kV)配電と 400 V 直接供給
20 [kV] 又は 30 [kV] 配電線路から降圧変圧器を介して三相 4 線式 230/400 [V] の電圧で需要者に電気を供給する場合の利点を,6 [kV] 配電線路から降圧して単相 3 線式 100/200 [V] の電圧で供給する場合と比較して,次の項目別に説明する。
5-1. 電気の供給者側から見た利点
設備・用地の縮小化ができる。また電圧降下・電力損失が小さくなり,設備量が減少するので事故も少なくなり,供給信頼度が向上する。
5-2. 電気の需要者側から見た利点
- 導体の所要量を少なくできる。
- 電力損失・電圧降下を小さくできる。
- 電灯と電力用の設備を共有できる。
- 高圧設備を省略できる場合がある。
5-3. 総合的観点から見た利点
電気の供給者,需要者ともに電力損失の軽減が図れるため,国全体としての省エネルギー化を推進できる。
また設備の縮小,電力損失の軽減により,電気料金の低減が図れる。
6. 参考文献
- 令和7年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問4「樹枝状高圧配電線のループ切替(無停電)」
- 令和6年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問4「配電線のループ系統」
- 令和6年度 上期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問7「配電線路の電圧維持に有効な対策」
- 令和6年度 上期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問17「三相 3 線式配電線路」
- 令和5年度 上期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問6「配電線路の開閉器類」
- 令和5年度 上期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問8「配電用機材」
- 平成20年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問4「配電系統構成」
- 平成13年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問6「22 kV(33 kV)配電と 400 V 直接供給」
- 平成9年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問4「樹枝状高圧配電線のループ切換」
7. 更新履歴
- 2022年6月8日 新規作成
- 2022年6月11日 参考文献に「平成9年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問4」を追加
- 2022年10月23日 参考文献に「平成13年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問6」を追加
- 2024年11月15日 参考文献に「令和6年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問4」を追加
- 2025年7月26日 配電線路の電圧維持を追加
- 2025年12月29日 記事の概要,検索エンジン向けタイトル,SNS 向けタイトルを追加
- 2026年2月15日 参考文献に「令和7年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問4」を追加
- 2026年3月28日 参考文献に「令和6年度 上期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問7・17」を追加
- 2026年3月29日 参考文献に「令和5年度 上期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問6」「令和5年度 上期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問8」を追加
