目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

配電系統のスポットネットワーク方式

スポットネットワーク方式(spot-network arrangement system)は,同一変電所から 22 kV ~ 33 kV の 3 回線の配電線により常時並列で需要家に電力供給を行う方式であり,分岐線はいずれも T 分岐で引き込んでいる。

T 引き込みし,それぞれ受電用断路器を経てネットワーク変圧器に接続される。

各低圧部はネットワークプロテクタを経て並列に接続し,ネットワーク母線を構成する。

一般に,スポットネットワーク方式は,高圧又は特別高圧側は多回線で供給するため,供給路の 1 回線が停電しても無停電供給が可能であり,信頼度が高い。

スポットネットワーク方式

スポットネットワーク方式

この方式は,供給信頼度が高く,都市部の高層ビルや大工場などのように極めて高度に集中化した大容量負荷部に適用するもので,その他の配電方式と比べて,電圧降下,電力損失が少ないことが特徴として挙げられる。

なお,電気設備の技術基準の解釈 第220条 分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義において,スポットネットワーク受電方式は,次のように定義されている。

スポットネットワーク受電方式

2 以上の特別高圧配電線(スポットネットワーク配電線)で受電し,各回線に設置した受電変圧器を介して 2 次側電路をネットワーク母線で並列接続した受電方式

また,資源エネルギー庁電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」(令和元年10月7日)の用語の整理において,スポットネットワーク配電線は,次のように整理されている。

スポットネットワーク配電線

2 回線以上の 22 kV 又は 33 kV 特別高圧地中配電線から需要家がそれぞれの回線ごとに施設した変圧器の 2 次側母線で常時並行受電する配電線をいう。

スポットネットワーク受電設備の構成

需要家の変圧器(ネットワーク変圧器)の一次側は遮断器が省略され,二次側はネットワークプロテクタ(プロテクタヒューズとプロテクタ遮断器)を経て,共通の母線(ネットワーク母線)に接続される。

この母線に接続された幾つかの幹線によって負荷に電力供給が行われる。

この方式では,1 回線の配電線又はネットワーク変圧器が事故停止しても,残りの変圧器の過負荷運転で最大需要電力を供給できるよう変圧器容量を選定しており,変圧器の過負荷耐量は通常,少なくとも定格容量の 1.3 倍を見込んでおけば,年間数回の連続 8 時間程度の連続運転により,健全な設備から無停電で供給を継続することができる。

ネットワークプロテクタの機能

スポットネットワーク方式の保護装置としては,高圧側の停電に対するほかの高圧回線からの逆流を防止するためにネットワークプロテクタが使用される。

一般的にネットワークプロテクタは遮断器,ヒューズ及び保護リレーからなり,次の三つの特性をもっている。

  • 逆電力遮断特性
  • 無電圧投入特性
  • 過電圧投入特性(差電圧投入特性)

逆電力遮断特性

ネットワークに供給するフィーダが変電所で遮断されると,ネットワーク側から変電所側へ逆電流が流れる。

これを遮断する機能を逆電力遮断特性という。

ただし,負荷に大きな回生電力を発生する回転機があると逆電力によりネットワークプロテクタが不必要な動作をするおそれがある。

この対策として,多回線同時に逆電力が発生した場合は保護リレーをロックするとか,ダミー負荷で回生電力を消費するなどの方法がある。

無電圧投入特性

ネットワークに供給する全フィーダが変電所で遮断されている状態で,いずれかのフィーダを投入する。

これを無電圧投入特性という。

過電圧投入特性(差電圧投入特性)

ネットワーク側が充電している状態において,プロテクタが開かれている変圧器が一次側から充電されてきた場合には,変圧器二次側の電圧とネットワーク側の電圧との関係が,プロテクタが閉じたときに,電流が変圧器からネットワーク側へ流れ込む状態にあるときに限って閉路する。

これを過電圧投入特性(差電圧投入特性)という。

レギュラーネットワーク方式

レギュラーネットワーク方式(regular network system)は,22 (33) kV 配電線において採用される方式であり,高負荷密度地域の商店街あるいは繁華街といった特別地域の一般需要家を対象とした供給方式である。

2 回線以上の一次配電線に接続されているネットワーク変圧器の 2 次側の低圧幹線を格子状に連系し,低圧幹線の事故を除去するためにリミッタヒューズが施設されている。

一次配電線の停電に対する動作は,スポットネットワーク方式とほぼ同じであり,1 回線が停電しても低圧の需要家に無停電で供給を継続できる信頼度の高い供給方式である。

参考文献

更新履歴

  • 2021年11月26日 新規作成
  • 2021年11月27日 配電系統のスポットネットワーク方式のイメージ図を追加
  • 2021年12月5日 参考文献に「スポットネットワーク方式の概要 | 音声付き電気技術解説講座 | 公益社団法人 日本電気技術者協会」を追加
  • 2021年12月19日 参考文献に「平成15年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 電力 問3」を追加
  • 2021年12月24日 レギュラーネットワーク方式の説明を追加
  • 2021年12月25日 電気設備の技術基準の解釈におけるスポットネットワーク受電方式の定義を追加
  • 2021年12月28日 参考文献に「平成8年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問4」を追加
  • 2022年5月4日 参考文献に資源エネルギー庁「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」(令和元年10月7日)を追加
  • 2022年5月5日 参考文献に「令和3年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 法規 問7」を追加
  • 2022年5月8日 加除修正
  • 2022年5月21日 参考文献に「平成24年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 電力 問4」を追加