目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

電力系統における電力損失

電力系統における電力損失(発電所で発生した電力が,需要家に供給されるまでの間に発電所,変電所及び送電線や配電線でその一部が失われること)に関して,説明する。

電力損失を構成する内容

電力損失を発電所所内電力と送変配電設備に分け,それぞれの損失を構成する内容について述べる。

発電所所内電力

発電のために使用する動力,照明,電熱などをいう。

火力発電所では,冷却水循環やボイラ給水,送風などのほか,排煙脱硫装置や石灰灰の処理などの動力が必要になる場合もある。

水力発電所所内電力の所内比率

近年の水力発電所所内電力の所内比率(発電電力量に対する所内電力量の割合)の全国平均実績値は 1 [%] である。

送変配電設備の電力損失

送電線路・変電所・配電線路中で消費される銅損や鉄損,その他の電力損失であり,潮流や力率などによって変動する。

電力系統の電力損失では一番大きい。

送配電線の抵抗損(オーム損)がメインで,変圧器では鉄損や銅損が発生する。

超高圧送電線ではコロナ損,地中送電線では誘電体損やシース損がある。

送配電設備の損失率

送配電設備の損失率について,全国平均実績値は 5 [%] である。

電力系統における電力損失軽減対策

発電所を除く電力系統における電力損失軽減対策について説明する。

潮流改善

電力系統間をつなぐ連系送配電線路を新設するなどして各電力系統を流れる電力潮流を改善し,電力損失の軽減を図る。

過負荷解消

過負荷傾向にある送配電線路に対し新たに送配電線路を新設・増設するなどにより過負荷を解消し,電力損失の軽減を図る。

力率改善

遅れ力率で値が悪いと電流が増え電力損失が増加することから,電力コンデンサを設置して遅れの無効電力を打ち消し電力損失の軽減を図る。

電圧格上げ

電力損失は電流と抵抗によるものであり,送電線や高圧配電線の格上げ(上位電圧への移行)により電流値を抑え電力損失の軽減を図る。

損失軽減機器・機材・構造の採用

低損失変圧器・低損失電線など,高効率・低損失の電力機器・機材・構造を採用し電力損失の軽減を図る。

参考文献

  • 平成29年度 第一種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問6「電力系統における電力損失」

更新履歴

  • 2022年11月11日 新規作成