目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

低圧配電線の配線方式

低圧配電線には単相 2 線式,単相 3 線式,三相 3 線式及び三相 4 線式などが採用される。

いずれの方式においても,混触時の低圧側電圧上昇を抑制するという保安上の理由から,一般には一線又は中性点が接地されている。

単相 2 線式(single-phase two-wire system)

単相 2 線式とは,電圧線 1 本,接地された無電圧の線 1 本,計 2 本の電線・ケーブルを用いて単相交流電力を供給する低圧配電方式である。

電灯や小型器具など,照明や電気機器は単相 2 線式 100 V である。効率的な配電のため,最近は単相 3 線式 100/200 V が主流である。

図 単相 2 線式(single-phase two-wire system)

図 単相 2 線式(single-phase two-wire system)

単相 3 線式(single-phase three-wire system)

単相 3 線式は単相変圧器二次側の中性点を接地して,そこから中性線を引き出し,両外側の電圧線とともに 3 線で負荷に供給する方式である。

図 単相 3 線式(single-phase three-wire system)

図 単相 3 線式(single-phase three-wire system)

単相 2 線式と同じ太さと長さの電線を 3 本使い,中性線と両外側の電圧線に単相 2 線式の負荷を半分ずつ配置し,単相 2 線式と同じ容量の負荷に供給した場合,電圧降下と電力損失は単相 2 線式の 1/4 に減少し,経済的に有利である。

しかし,負荷に不平衡などがあると電圧不平衡となるおそれがある。電圧不平衡の対策として負荷の対象配分を図ることや,線路の末端にバランサと呼ばれる単巻変圧器を設置するなどの方法がある。

中性線の欠相により発生する障害

二つの 100 V 回路の負荷が不平衡であるときは,中性線が断線していると回路ごとの電圧に不平衡が生じる。

一方の 100 V 回路で過電圧が生じ,他の回路では電圧が低下して,機器類の損傷・焼損及び誤動作などの障害を起こす恐れがある。

中性線の欠相が生じる原因

中性線欠相の主な発生原因は,分電盤内の開閉器の端子等において接触が不完全になるものである。

この接触不良は,工事施工不良によるねじ締めの不完全や導体温度変化による導体の膨張・収縮や振動等により経年的な接触不完全へのは進展が考えられる。

中性線の欠相により発生する障害の防止対策

  • 2 ねじ方式,圧着端子方式等により開閉器類端子部の構造を改善し,長時間使用してもねじのゆるみが生じにくい構造とする。
  • 中性線欠相による過電圧発生時に回路を遮断する機能(欠相保護機能)を持たせた漏電遮断器を使用する。
  • 開閉器類を設置するとき,高温・多湿の場所,振動や塵埃のある場所への設置を極力避ける。また,端子締め付けに適した工具を用い,確実に施工・確認をする。
  • 既設開閉器類の端子部の点検のほか,異臭,テレビ・ラジオの雑音,機器類の運転の異常,照明器具の明るさの異常などから,不良箇所の早期発見に努め,処置する。
  • 低圧線の末端にバランサ(単巻変圧器)を設置することで,中性線断線時の電圧不平衡を大幅に軽減する。

三相 3 線式(three-phase three-wire system)

三相 3 線式とは,3 本の電線・ケーブルを用いて三相交流電力を供給する配電方式である。

200 V 三相負荷への供給として主に採用されている方式であり,Δ 結線と Y 結線方式がある。柱上変圧器では変圧器 2 台による V 結線が主流である。

三相 4 線式(three-phase four-wire system)

異容量三相 4 線式 100/200 V

電灯需要と動力需要が混在する地域で,一般的に行われる配電方式である。

電柱上では 2 台の変圧器を V 結線とし,三相 3 線式 200 V 線路(電力)と,単相 3 線式 100/200 V(電灯)を組み合わせた形となっている。

V 結線を Δ 結線に置き換えたものは,電圧不平衡と変圧器利用率が改善される。

本方式そのものが非対称回路なので,三相,単相負荷とも電圧にわずかな不平衡を生じる。

電動機の始動電流によるフリッカの発生についても留意が必要である。

Y 結線三相 4 線式 415 V

湾岸開発地域など,中小容量の単相と三相負荷が混在する一部の地域で,400 V 配電方式が採用されている。

また,高層ビルなどの屋内配線には,この方式が最適である。

この方式では,単相と三相負荷の電圧比が $1: \sqrt{3}$ であり,対照的な系統を構成する。

400 V 級レギュラーネットワークなどに適用されている。

参考文献

masassiah.web.fc2.com

更新履歴