配電線の大容量化などに伴う太線化と多回線化による設計荷重の増加に加え,木材資源が乏しくなってきたことから,現在,我が国では配電系統の支持物(電柱)としてコンクリート柱が主流となっている。
電柱には電線をはじめとした種々の設備が取り付けられるため,以下に示す応力について考慮する必要がある。
応力の計算では,電柱の最大応力を生じる部分において,電柱が分担する最悪条件下の外力による曲げモーメント($M$)より電柱の抵抗モーメント($M_\text{r}$)が大きくなるように設計する必要がある。
外力による曲げモーメント($M$)は,以下の a),b) の和で表される。
a) 電柱全体に加わる風圧による曲げモーメント($M_\text{p}$)
$\displaystyle M_\text{p} = w_\text{p}(\frac{D_0 H^2}{200}-\frac{KH^3}{3})$ [kg・m]
ただし,$w_\text{p}$ : 円形柱体の単位面積当たりの風圧荷重 [kg/m2],$D_0$ : 電柱地際における直径 [cm],$H$ : 電柱の地表上の高さ [m],$K$ : 電柱の直径増加係数。
b) 電線に加わる風圧の曲げモーメント($M_\text{w}$)
$\displaystyle M_\text{w} = S \frac{\Sigma{w_\text{e}dh}}{1000}$ [kg・m]
ただし,$w_\text{e}$ : 電線の垂直投影面積当たりの風圧荷重 [kg/m2],$d$ : 電線の直径 [mm],$h$ : 電線の地表上の高さ [m],$S$ : 径間 [m]。
したがって,定められた風圧荷重に対して次式を満足させる必要がある。
$M_\text{r} \gt M = M_\text{p}+M_\text{w}$
参考文献
- 令和2年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問4
更新履歴
- 2022年5月25日 新規作成