三相ブリッジ接続の他励サイリスタ変換装置に用いる変圧器において,一次巻線(交流巻線)を三相とも短絡し,二次巻線(直流巻線)の任意の 2 端子間に定格周波数の正弦波電流を通電したときの電圧及び電流から算出される全リアクタンスは,転流リアクタンスである。
この値が十分に小さく,かつ,変換装置の直流電流のリプルが十分に小さいとき,この変圧器を変換装置に用いたときの二次電流(直流側電流)波形は,120° 通電の方形波状になる。
このため,二次電流の実効値は,その基本波の実効値 $\displaystyle \frac{\sqrt{6}}{\pi}I_\text{d}$($I_\text{d}$ は直流電流の値)に対して約 4.7 [%] 大きくなる。
PWM 制御された三相ブリッジ接続の電圧形自励交直変換装置に用いる変圧器を考える。
二次巻線に加わる線間電圧は,変圧器が変換器に直接接続されているとき,変換装置の直流電圧を振幅した PWM 波形となる。
電圧形自励交直変換装置に用いる変圧器は,変換器が発生する電圧で二次巻線が励磁されるので他励用に比べて直流偏磁する可能性が高い。
直流偏磁を抑制するための対策の一つの方法は,変圧器が偏磁が生じないように二次電圧又は電流を変換器で制御することである。
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- 2022年7月22日 新規作成