目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

電力系統内における停電事故の拡大

電力系統の一部に生じた単純な事故が引き金となり,これに悪条件が重なると次から次へと事故が拡大することがある。

このように事故を拡大させる悪条件(技術的要因)としては,次のようなことが考えられる。

  1. 有効電力の需給不平衡による系統周波数の異常変化
  2. ある送電線の過負荷による連帰営する他の送電線の連鎖的な過負荷
  3. 送電系統の脱調(安定度の崩壊)
  4. 無効電力の需給不平衡や電圧の異常変化
  5. 異常電圧の伝播による異地点,異相地絡の発生

上記 1. の要因による事故を例にとると,電源線の事故によって電源が系統から切り離された場合には,系統の供給力が低下するため,系統周波数は低下していく。

このような状況が継続して,健全なタービン・発電機に機械的振動などの悪影響を及ぼすような状況になった場合には,タービン・発電機を保護するため解列させることから,やがて停電事故が拡大していくということが起こりうる。

最近の電力系統は,いくつもの単独系統が連系された複合系統となっており,適切な保護リレーシステムが設置されているが,常に連鎖事故の脅威を内蔵しており,十分な注意を払い運用していかなければならない。

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参考文献

  • 平成19年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問5「電力系統内における停電事故の拡大」

更新履歴

  • 2022年9月8日 新規作成