三相交流の電圧で,各相の電圧の大きさが等しく,位相差が 120 度ずつであるものを,電圧が平衡であるといい,そうでないものを不平衡であるという。
不平衡となる原因
系統内の三相電流が不平衡となる原因は,主に電気炉,溶接機,交流式電気鉄道等の大型三相不平衡負荷,送電線三相インピーダンスの不平衡,送電線の断線・地絡などである。
大型三相不平衡負荷のうち,交流式電気鉄道は極めて単相負荷容量が大きく,「電気設備技術基準の解釈」では電圧不平衡率の制限値が規定されており,計算式により計算した値が,変電所の受電点において 3 % 以下であることとされている。

不平衡状態による障害
系統の不平衡状態によって発電機の温度上昇や,電力系統の保護装置の誤動作などの障害が発生する。
このうち同期発電機においては,逆相電流が生じ,各相の端子電圧や電機子電流が不平衡となる。
不平衡状態では電機子電流の逆相電流により,回転子に渦電流が流れる。この電流は主に回転子軸の表面,くさびや保持環の間を流れ,この部分を通る渦電流によって過熱され,せん断破壊を起こすことがある。
このため,同期発電機においては逆相電流の制限値が設けられている。
このように系統の不平衡状態では電気機器にも悪影響を及ぼすことから,対策として単相負荷を入れ替えて各相バランスを図ったり,不平衡負荷に短絡容量の大きい上位系統から供給するなどの方策がとられている。
電圧不平衡による障害の防止
電気設備技術基準の解釈 第212条【電圧不平衡による障害の防止】では,次のように規定されている。
交流式電気鉄道の単相負荷による電圧不平衡は,交流式電気鉄道の変電所の変圧器の結線方式ごとに規定する計算式により計算した値が,変電所の受電点において 3 % 以下であること。
| 交流式電気鉄道の変電所の変圧器の結線方式 | 電圧不平衡率の計算式 |
|---|---|
| 単相結線 | $K=ZP\times10^{-4}$ |
| 三相/二相変換結線(変形ウッドブリッジ結線,スコット結線等) | $K=Z|P_\text{A}-P_\text{B}|\times 10^{-4}$ |
| V 結線 | $K=Z\sqrt{{P_\text{A}}^2-P_\text{A} P_\text{B} +{P_\text{B}^2}} \times 10^{-4}$ |
ただし,計算式に用いる記号は次のとおり。
- $K$ は,百分率で表した電圧不平衡率
- $Z$ は,変電所の受電点における三相電源系統の 10,000 kVA を基準とするパーセントインピーダンス又はパーセントリアクタンス
- $P$ は,全き電区域における連続 2 時間の平均負荷(単位 : kVA)
- $P_\text{A}$ および $P_\text{B}$ は,それぞれのき電区域における連続 2 時間の平均負荷(単位 : kVA)
単相結線
交流式電気鉄道の変電所の変圧器が単相結線の場合,電圧不平衡率の計算式は次式となる。
\[K=ZP \times 10^{-4}\]
三相/二相変換結線
交流式電気鉄道の変電所の変圧器が三相/二相変換結線(変形ウッドブリッジ結線,スコット結線等)の場合,電圧不平衡率の計算式は次式となる。
\[K = Z |P_\text{A} - P_\text{B}| \times 10^{-4} \]
V 結線
交流式電気鉄道の変電所の変圧器が V 結線の場合,電圧不平衡率の計算式は次式となる。
\[K = Z \sqrt{{P_\text{A}}^2 - P_\text{A} P_\text{B} +{P_\text{B}}^2} \times 10^{-4} \]
電圧不平衡率
電圧不平衡率は,逆相電圧 / 正相電圧 × 100 [%] と表されるが,計算が複雑になるため,簡易式として次式で計算しても実用上差し支えない。
ここで,平均電圧とは各線間電圧の平均値とする。
各線間電圧と平均電圧の差の絶対値の最大値 / 平均電圧 × 100 [%]