電線の張力計算に用いる想定荷重は,電線がケーブルである場合を除き,水平荷重 $W_\text{W}$ [N/m] と垂直荷重 $W_\text{V}$ [N/m] の合成荷重 $W_\text{S}$ [N/m] を用いる。
合成荷重 $W_\text{S}$ [N/m] は,次式で示される。
\[ W_S = \sqrt{W_V^2 + W_W^2} \]
水平荷重 $W_\text{W}$ [N/m] としては風圧荷重をとる。
甲種,乙種及び丙種の 3 種の風圧荷重があり,甲種風圧荷重を適用する場合,電線の垂直投影面に加わる風圧は,多導体では電線相互の干渉による低減を考慮し単導体の 90 % として 880 Pa をとる。
ただし,多導体とは,構成する電線が 2 条ごとに水平に配列され,かつ,当該電線相互間の距離が電線の外径の 20 倍以下のものに限る。
垂直荷重 $W_\text{V}$ [N/m] としては電線重量 $W_\text{C}$ [N/m] をとる。ただし,乙種風圧荷重を適用する場合は,外径 $d$ [mm] の電線の周囲に厚さ 6 mm ,比重 0.9 の氷雪が付着したときの被氷重量を見込むものとし,この場合の垂直荷重 $W_\text{V}$ [N/m] は次式で示される。
\[ W_V= W _C + 0.9 \times \pi \times 6 \times (d + 6) \times 10^{-3} \times 9.8 \]
風圧荷重の種類
甲種風圧荷重
電気設備技術基準の解釈 第58条 58-1 表に規定する構成材の垂直投影面に加わる圧力を計算したもの,又は風速 40 m/s 以上を想定した風洞実験に基づく値より計算したもの。
架渉線が風圧を受けるとき,構成材の垂直投影面に加わる圧力は,以下のとおり。
乙種風圧荷重
架渉線の周囲に厚さ 6 mm,比重 0.9 の氷雪が付着した状態に対し,甲種風圧荷重の 0.5 倍を基礎として計算したもの
丙種風圧荷重
甲種風圧荷重の 0.5 倍を基礎として計算したもの
着雪時風圧荷重
架渉線の周囲に比重 0.6 の雪が同心円状に付着した状態に対し,甲種風圧荷重の 0.3 倍を基礎として計算したもの
参考文献
更新履歴
- 2022年4月17日 新規作成
- 2022年4月23日 電線の張力計算に用いる想定荷重の図を追加
*1:構成する電線が 2 条ごとに水平配列され,かつ,当該電線相互間の距離が電線の外径の 20 倍以下のものに限る。