図に示す 1 機無限大母線系統の 2 回線送電線において,1 回線の送電端母線の至近端で事故が起こり,当該回線の三相遮断が行われた場合の過渡安定性について,説明する。
過渡安定性面から見た送電線事故の過酷度合い
3 線地絡事故時に比べ 1 線地絡事故時の方が,過渡安定性面から見た送電線事故の過酷度合いは低い。
1 線地絡の場合,事故中の正相分等価回路では,事故点インピーダンスとして事故点から見た逆相及び零相インピーダンスが挿入される。
一方,3 線地絡時には,等価回路では事故点は短絡される。このため事故中における事故点の正相電圧の大きさは,3 線地絡時より 1 線地絡時の方が大きくなる。
これにより 1 線地絡時の方が,事故中の発電機の送電電力が大きくなり,発電機の加速が抑制されるため,過渡安定性面から見た過酷度合いは小さくなる。
PSS を組み合わせる目的と PSS の基本性能
一般に,発電機励磁系に超速応励磁装置を用いて過渡安定性を改善する場合,PSS(Power System Stabilizer)を組み合わせることが多い。
PSS を組み合わせる目的
速応励磁を用いた場合,発電機の第 1 波動揺の抑制には効果があるが,第 2 波以降の減衰が悪化する場合がある。
PSS はこの減衰を改善することを目的とする。
PSS の基本性能
PSS は,発電機出力,発電機回転数などを入力信号とし,対象とする動揺周期に対し発電機加速(減速)時には励磁を強める(弱める)ように位相と大きさを調整し,動揺を抑制するための自動電圧調整装置(AVR)への補助信号を生成する。
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参考文献
- 令和元年度 第一種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問3「三相遮断時の過渡安定性」
更新履歴
- 2022年11月8日 新規作成