一般電気事業者の電力系統全体にわたる停電事故(全停事故)が発生した場合の復旧手順と留意事項について,説明する。
初期電源の確保
一般的には,健全な隣接系統からの受電により順次再送電して復旧していくが,これが不可能な場合には,通常,短絡比が大きい大容量の水力発電所から試送電により初期電源を確保する。
フェランチ効果による電圧上昇や発電機の自己励磁が発生しないようにする必要がある。
なお,全停事故の場合においても火力発電所の中には,系統からの解列により送電不能となった場合でも,所内負荷をもって所内単独運転を行うことにより,系統の復旧時に系統並列,系統連系し,電力供給を数時間でできる機能のあるものもある。
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基幹送電線の復旧
基幹系統の線路の全遮断器を開放した後,1 区間又は一定区間ごとに充電することにより,基幹送電線の復旧を行う。
線路充電容量による電圧上昇に注意する必要があり,分路リアクトル等の投入量を調整して適性電圧に保ちつつ充電を行う。
負荷への供給
各発電所の起動,立上げを図った後,給電指令に基づき,負荷への送電を行う。
系統融通量と自社供給力の増加に応じて負荷系統に順次送電する必要がある。
参考文献
- 平成19年度 第一種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問6「電力系統全体にわたる停電事故の復旧」
更新履歴
- 2022年12月16日 新規作成