水力発電所では,操作油や潤滑油のオイルレス化が図られている。
オイルレス化を図る目的
- 水力発電設備の経年による劣化で漏油が発生し,河川への油の流出を防ぐため。
- 油脂類の補給は短い周期でメンテナンスが必要となる。オイルレス化により,保守の合理化・効率化を図ることができる。
オイルレス化の部位と対策
水車・発電機軸受(潤滑油装置など)のオイルレス化
軸受の潤滑油を省略するために,主軸の周囲に複数の電磁石を配して,その磁気吸引力を電気的に制御することによって回転軸を中空に保つ磁気軸受や,カプラン水車では,水車軸受に水を使用する水潤滑軸受が採用される例がある。
水車操作機構のオイルレス化
ガイドベーン,ニードル,入口弁の弁類などのしゅう動部の潤滑は,グリス給油装置により一定時間間隔で給油している。
最近では,金属ベースに黒鉛系またはふっ素樹枝系の固体潤滑剤を埋め込んだ無給油軸受が採用され,グリス給油装置は省略されている。
水車操作方式関連のオイルレス化
電動サーボモータの回転運動をボールネジあるいはボルトナットにより直線運動に変換し,水車の操作機構を直接駆動し,圧油装置を不要とすることで,オイルレス化を図っている。
参考文献
更新履歴
- 2022年12月15日 新規作成