電力供給の品質を評価する上で、電圧変動・周波数変動・停電の 3 項目が基本的な指標とされている。
この中でも、社会的影響が最も大きいのが「停電」、すなわち供給支障であり、その度合いを示す尺度は「供給信頼度」と呼ばれている。
本稿では、供給信頼度の定義と評価方法、電力系統の特性、供給者・需要家それぞれの視点からの信頼度の捉え方について整理する。
供給信頼度とは
供給信頼度とは、電力の安定供給に対する信頼性を示す指標であり、停電の発生頻度や影響度を定量的に表すものである。評価には、需要家側と供給者側の 2 つの視点が存在する。
電力系統の特性
電力系統の信頼度を考えるためには,電力系統の特性を知る必要がある。
電力系統は,電力の発生から消費に至るまでの発電所,送電線,変電所,配電線,負荷などのさまざまな設備が一体化したシステムである。
発電所をはじめとする個々の設備自体がかなり複雑なシステムであるので,これらが接続された電力系統は極めて複雑な振る舞いをする大規模なシステムとなる。
以下に電力系統の持つ主な特性を示す。
- 「生産」と「消費」が同時
- 同一の周波数の下で,同期をとって運転
- ネットワークは自然環境にさらされている
- セキュリティは電源やネットワークの運転状態によって変化
- 変化あるいは発展するシステム
これらの特性を踏まえることで,電力供給の信頼性を正確に評価することが可能となる。
需要家側からみた供給信頼度の表し方
需要家側からみた供給信頼度の一般的な表し方としては,需要家一軒当たりの年間平均の停電回数と停電時間が用いられる。
これらの指標は、実際の生活や業務に与える影響を直接的に反映するため、社会的な視点からの評価に有効である。
供給者側からみた供給信頼度の表し方
供給者側からみた供給信頼度の一般的な表し方としては,電気の供給力,最大需要電力等を確定論的に取り扱った供給予備力がある。
電気の供給力
電源の供給力のうち,水力発電については出水変動を統計的に処理した供給力が採用されている。
供給予備力
供給予備力は電力輸送設備の事故等による電源の停止は考慮していない。
このため,電力輸送設備の計画及び運用面に当たっては,一般に送電線の 1 回線事故,変電所の 1 バンク事故等の単一事故を規定しても,供給支障事故や電源脱落事故に至らないことを基準としている。
また,重要系統については多重事故等により厳しい事故条件を想定して,この場合に供給支障や発電支障の大きさ [kW] や継続時間が許容されるレベルを超えることがないように電力輸送設備の構成を行っている。
まとめ
電力供給の信頼性は、社会インフラの根幹を支える重要な要素である。
供給信頼度の評価には、需要家の体感的な影響と、供給者の設備設計・運用の両面からの視点が必要である。
電力系統の特性を理解し、適切な評価指標を用いることで、より強靭で安定した電力供給体制の構築が可能となる。
参考文献
- 杉澤孝倫,「電力系統の特徴と制約」,電学誌,145 巻 4 号,2025 年
- 平成20年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問6「電力系統の信頼度」
更新履歴
- 2022年9月6日 新規作成
- 2025年7月5日 参考文献に「電力系統の特徴と制約」を追加
- 2026年2月25日 自動生成アイキャッチに変更