目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

電力系統への襲雷の予測方法

電力系統への襲雷の予測方法には,以下のものがある。

  • 気象庁などの気象情報サービス機関からの予測情報に基づく短期予測
  • 気象衛星,雷観測レーダなどからの雷雲の分布,高度などの情報による襲雷位置,時間の短時間予測
  • 落雷時の放電に伴う電磁波などの観測による落雷位置評定システム(LLS : Lightning Location System)*1の情報,風向き,風速などをもとにした短時間予測

電力系統運用面での対策

落雷が電源線,連系線及び負荷線に予想される場合のそれぞれについて,電力系統設備運用面での対策を説明する。

共通の運用対策

  • 襲雷が予想される場合,作業などによる送電線停止は極力避ける。
  • 電源線,連系線では,落雷による送電線 1 回線停止では供給支障に波及しないように,常時 2 回線以上を併用する。
  • 高速自動再閉路を適用して送電線事故時の高速復旧を図り,系統安定度への影響を局限化する。
  • 特に重潮流の電源線,連系線については,系統安定化システムを設置し,電源,負荷の脱落を最小限に留める。

電源線に落雷が予想される場合

  • 落雷のおそれのない他系統の発電所に出力を振り替えることにより,電源線潮流を抑制する。
  • 落雷のおそれのない他系統の発電所の瞬時予備力,運転予備力を多めに確保し,電源線事故に伴い発電機脱落に備える。

連系線に落雷が予想される場合

  • 受電系統側の発電所の増発または負荷の送電線系統への切換により,連系線潮流を抑制する。
  • 連系線事故時の系統分断による供給支障を局限するため,瞬動予備力,運転予備力を多めに確保する。
  • 別ルートの連系線がある場合は,その系統に切り換える。

負荷線に落雷が予想される場合

  • 負荷を他の負荷線からの供給に切り換える。
  • 自家用発電機を有する需要家の場合は,増発して極力電力系統側からの受電電力を抑制する。

参考文献

electrical-engineer.hatenablog.jp

更新履歴

*1:LLS とは,落雷の位置や雷電流の大きさを高精度でリアルタイムに観測できる落雷観測システムである。複数の落雷観測センサと 1 台の中央処理装置から構成され,落雷時に発生する LF 帯の電磁波をセンサで捕捉し,中央装置に伝送する。中央装置はセンサから送られたデータを演算・解析し,リアルタイムに落雷位置を標定,同時に落雷の時刻,雷電流の大きさ,雷電流の極性などを算出する。