タービン発電機に採用される固定子巻線水冷却方式に関する次の各項目について説明する。
水冷却方式を採用する目的と発電機水冷却系統の概要
タービン発電機に採用される固定子巻線水冷却方式を採用する目的は以下の通り。
- 火力発電ユニットの大容量化に伴う単機容量の増大
- 発電機の大型に伴う重量,占有面積,価格などの上昇抑制
- 安全性の向上(水素冷却に比較して,水冷却は管理が容易)
固定子コイル内部につくられた通水路に純水を通して,巻線の発生熱を奪う。
温度の上昇した水は,貯水槽を通り冷却器で冷却され,ポンプで再び固定子に送られる。
水は純度管理(導電率を管理)が必要なため,純度計により管理され,イオン交換樹脂を通して一定純度を保つようにしている。
水冷却式発電機に付属される機器と制御装置の概要
ポンプ,貯水槽,減圧弁・調整弁,冷却器,フィルタ,イオン交換樹脂および圧力計・温度計,純度計,水位計などの計測監視機器が付属される。
制御装置の概要は以下の通り。
- 固定子コイル温度がある一定以下になるように,冷却水流量の監視制御
- 冷却水の純度を保つため,水処理制御
- 冷却水の水量を確保するため,水位制御
運転中に冷却水の循環が停止した場合の制御の概要
制御の概要は以下の通り。
- 純水が沸騰するまでに運転継続可能な領域まで出力を低下させるランバックを行う。
- 出力を低下しても固定子巻線が規定の温度異常になった場合には発電機をトリップさせる。
- 冷却装置に異常があった場合には,予備系の冷却装置に切り換える。
参考文献
- 令和5年度 第一種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問1「タービン発電機の固定子巻線の冷却方式(水による直接冷却方式)」
- 平成14年度 第一種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問1「固定子巻線水冷方式」
更新履歴
- 2022年12月19日 新規作成
- 2023年11月25日 参考文献に「令和5年度 第一種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問1」を追加