目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

電力科目

地中配電線路

高圧地中配電系統には,配電用変圧器の引出口,過密都市部,電車線路や幹線道路横断箇所など架空電線路では設備が輻輳し,施設することが技術的に困難な箇所に施設するものや,都市機能,景観上の観点から施設するものなどがある。 その系統構成はケーブルの…

送配電系統の高調波

近年,需要家で使用する機器に変換装置(サイリスタ・ダイオードなど),アーク炉,サイクロンコンバータ,交流電力調整機器など交流波形をひずませる高調波を多く含んでいるものが広く使用され,電力系統の高調波含有率が増加する傾向にある。 高調波含有率…

発電電動機の始動方式

発電電動機は,揚水時には同期電動機となるため,次のような始動方式を採用し始動しなければならない。 制動巻線始動方式 突極形同期機の制動巻線 同期始動方式 直結電動機始動方式 サイリスタ始動方式 参考文献 更新履歴 制動巻線始動方式 発電電動機を誘導…

分散型電源の系統連系

本稿では,分散型電源の系統連系について述べる。 ここで,分散型電源とは,一般電気事業者及び卸電気事業者以外の者が設置する発電設備等であって,一般電気事業者が運用する電力系統に連系するものをいう。 分散型電源の系統連系に係る用語の定義 電気設備…

軽水形原子炉

わが国の発電用原子炉は,燃料として低濃縮ウランを用い,軽水と冷却材が減速材を兼ねる軽水炉が主流であり,加圧水形と沸騰水形の 2 種類が採用されている。 両者の構造や制御機能などに相違点があり,以下にその例を挙げる。 加圧水形は,水が沸騰しないよ…

受電設備の保護協調

保護協調(protection coordination)*1とは,系統又は電力設備に故障が発生した際,故障発生源を早期に検出し,迅速に除去し,故障の波及・拡大を防ぎ,健全回線の不要遮断を避けることである。 保護装置がそれぞれ協調せずに動作すると故障した部位が正確…

GIS 変電所の絶縁協調

絶縁協調(Insulation co-ordination)*1に関して,GIS 変電所*2を気中絶縁変電所*3と比較した場合の相違点として,主に以下の点が挙げられる。 ガス絶縁機器の V-t 特性は気中絶縁機器よりも平たんであり,急しゅん波領域で協調がとりにくい。 ガス絶縁母線…

火力発電所の主変圧器と所内変圧器

本稿では,火力発電所に設置される主変圧器と所内変圧器について述べる。 主変圧器 低圧側電圧を発電機端子電圧にほぼ等しくすることから,低圧部には大電流が流れる そのため,巻線漏れ磁束や巻線リードの磁界による構造部材の局部過熱への配慮が必要である…

プロペラ水車と斜流水車

プロペラ水車 プロペラ水車は反動水車に属し,流水がランナの軸方向に通過する水車である。 そのランナ羽根には固定構造のものと可動構造のものがある。 可動構造で縦軸形のものをカプラン水車(Kaplan turbine)といい現在一般に広く採用されている。 ダム…

変圧器の騒音

変電機器は大容量,大型化を辿ってきた。 大都市の電力需要が増加していた時代においては,変電所も都市周辺,あるいは人口密集地帯に設置されることが多くなり,変電機器に対する低騒音化の要求が厳しくなってきている。 変電所の機器の中では連続音を発生…

汽力発電所(コンバインドサイクル発電所を除く)の蒸気サイクル

蒸気タービンを用いた汽力発電所(コンバインドサイクル発電所を除く)の蒸気サイクルはランキンサイクルが基本であるが,その熱効率を向上させるために再熱サイクルや再生サイクルが採用される。 再熱サイクル ランキンサイクルの熱効率は,入口温度が一定…

配電線の電圧調整

低圧需要家への供給電圧を電気事業法で定められた範囲内に維持するためには,配電用変電所の送出電圧を合理的に調整し,配電系統各部の電圧降下を適切に配分することが必要である。 ただし,近年普及してきた分散形電源が接続された系統では,需要家構内の消…

風力発電用発電機

風力発電の発電機は,風速の変動で軸の回転速度が変化し,端子電圧の周波数,電圧が変動するため,系統に連系するにはこれを解決する必要がある。 このため,周波数に関係なく,電圧調整も容易な直流発電機(direct current generator)*1が用いられたことも…

ケーブルの診断技術と事故点測定法

油浸絶縁ケーブルの絶縁低下は,主にシースの腐食・外傷などによる絶縁体の吸湿,浸水やケーブルの熱伸縮などによる空げきの発生,長年月の使用による絶縁体の変質などの単独あるいは組み合わせにより発生する。 また,架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケー…

配電自動化システム

配電自動化システム*1により配電線事故発生箇所を含む区間を自動的に区分する方式として,事故発生時に配電線停止によりいったん無電圧開放された自動開閉器を,変電所の配電線用遮断器の再閉路と協調して,一定の時間間隔で順次投入する時限順送方式が一般…

複合がい管・碍子の特性と適用

送電線や変電機器のがい管,がいしには,従来から磁器製のものが広く採用されているが,近年,これに加えて FRP 製の筒にシリコーンゴムを被覆した複合がい管・がいしが採用されてきている。 複合がい管・がいしの長所は,軽量であること,はっ水性があるた…

直流送電の送電方式

直流送電(direct-current power transmission)とは,交流系統に設けた交直変換器により交流を直流に変換し,直流送電線(架空送電線およびケーブルを含む)を介して送電した後,他の交流系統に設けた交直変換器により直流から好悪流に変換する送電方式のこ…

変電所に設置する断路器及び接地開閉器

断路器(disconnector)は,主回路の接続変更や母線の区分および機器の点検修理等の場合の切り離しを電路が充電状態のままで行う装置。 断路器は,発変電所内の回路の保守作業を行う際に安全のために作業箇所を電圧のある回路から切り離すことなどに用いられ…

ガスタービンに使用される部品

コンバインドサイクル発電プラントを構成する設備のうち,ガスタービンは高温条件で使用されるため,材料の選定,保守には様々な配慮が必要となる。 ガスタービン部品のうちタービン翼など高温にさらされ,かつ高い強度が求められる部分には,鉄(Fe),ニッ…

低圧配電線の配線方式

低圧配電線には単相 2 線式,単相 3 線式,三相 3 線式及び三相 4 線式などが採用される。 いずれの方式においても,混触時の低圧側電圧上昇を抑制するという保安上の理由から,一般には一線又は中性点が接地されている。 単相 2 線式(single-phase two-wir…

燃料電池の仕組みと原理

水素エネルギーはクリーンなエネルギーとして期待されている。 この水素エネルギーを有効に利用できるものが燃料電池(fuel cell)である。 燃料電池は水素やアルコールなどの燃料をアノードで電気化学的に酸化し,取り出した電子を,外部回路を通じてカソー…

水車のキャビテーションとその対策

本稿では,水車におけるキャビテーションについて説明する。 キャビテーションの発生メカニズム キャビテーションの障害 運転中の機器に与える影響 水車の吸出し管 キャビテーションの防止策 発電所を設計するうえで考慮すべきこと 水車の設計・製作上で考慮…

電力系統に生じる電力動揺

遠隔地電源から無限大母線へ遅れ力率で送電している超高圧並行 2 回線送電線において,その片回線が開放され,生じた電力動揺が収まった後に投入された。 片回線開放直後,発電端電圧は急に上昇し,その後ある周期で振動する。投入時もやはり発電端電圧は投…

変圧器の負荷時タップ切換装置

変圧器の負荷時タップ切換装置について解説しています。変圧器の負荷時にタップ切換を行えることで,重負荷・軽負荷に関わらず,一定の電圧で電気が使えます。

蒸気タービン発電機の起動

蒸気タービンを起動する前に,循環水(冷却水)ポンプを起動して復水器に冷却水を通水するとともに,タービンの軸封部を蒸気にてシールし,空気抽出器によって復水器の真空上昇を行う。 electrical-engineer.hatenablog.jp ボイラの蒸気条件及び復水器の真空…

配電系統に施設される柱上開閉器

柱上開閉器は,主に配電線路の作業時の区分用又は故障時の切り離し用として使用される。柱上開閉器は操作ひもにより開閉操作する手動式と,制御装置を組み合わせた自動式に区分される。 以前は油入形が主流だったが,昭和 51 年(1976 年)に「電気設備に関…

火力発電所で用いられる集じん装置

火力発電所で用いられる集じん装置(dust collector)*1には,機械式(重力,慣性力,遠心力,洗浄,ろ過)および電気式がある。 火力発電所で用いられる集じん装置は排出ガス量が多いこと,湿式では多量の水を必要とし,圧力損失が大きく,動力がかさむなど…

高電圧電力機器の絶縁材料

高電圧工学において対象とされる絶縁物としては,気体,液体,固体があげられ,おのおのの誘電体における放電現象ならびに絶縁破壊機構は異なっている。 高電圧電力機器の絶縁材料(insulating material)としては,空気,SF6ガスなどの気体,絶縁油などの液…

送電線の自然災害に対する設計

送電鉄塔の荷重設計で支配的なのは,通常は強風又は着氷雪荷重であり,一般的な建築物が地震荷重である点と異なる。 これは鉄塔がトラス構造物であり建築物に比べて軽いことに加えて架渉線を有していることによる。 法的な定め 電気設備に関する技術基準を定…

送配電系統の電圧上昇とその対策

都市部の送配電系統ではケーブル系統の採用や需要家側に設置された力率改善用コンデンサの常時投入などにより,深夜軽負荷帯などに無効電力発生が過剰となる場合がある。 軽負荷時には充電電流(進み電流)の影響,いわゆるフェランチ効果(Ferranti effect…