目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

受電設備の保護協調

保護協調(protection coordination)*1とは,系統又は電力設備に故障が発生した際,故障発生源を早期に検出し,迅速に除去し,故障の波及・拡大を防ぎ,健全回線の不要遮断を避けることである。

保護装置がそれぞれ協調せずに動作すると故障した部位が正確に選択できず,不必要に広範囲の停電を引き起こす場合が生じる。

このため,各保護装置相互間の適正な協調を図ることが必要である。

高圧受電設備の保護方式は,主遮断装置として高圧交流遮断器を用い保護リレー装置などと組み合わせて保護を行う方式と,限流ヒューズと高圧負荷開閉器を組み合わせて保護を行う方式に大別される。

過電流保護協調

過電流保護においては,負荷側から電源に向かって段階的に時限を長くし,事故を選択遮断させようとするものである。

この方式は,段階時限方式とも呼ばれている。

地絡保護協調

地絡保護協調については,配電用変電所の保護方式*2に対して需要家側で時限協調と感度(地絡電流)協調を図る必要がある。

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一般に需要家用地絡継電器は零相電流によって動作する非方向性のものが用いられるが,需要家構内のケーブル系統の対地静電容量が大きい場合,配電系統の故障によって不必要動作する場合があるため,地絡方向継電器を使用して協調を図る必要がある。

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高圧受電設備の保守管理

高圧受電設備の場合,電力会社の変電所からの配電線に複数の需要家が連なっており,自己の事故によって,配電線路の上位の変電所で遮断することになると他の需要家に影響を及ぼすことになる。このような事故を波及事故というが,受電設備の主遮断装置から見て負荷側の事故に対しては,十分な遮断容量と保護リレーの保護協調が重要であり,主遮断装置から電源側に対しては,入念な点検による故障要因の事前発見,予防が大切になる。

波及事故の発生個所は主遮断装置及びその電源側に多く,具体的なものとして,主遮断装置の他,高圧開閉器,高圧引込ケーブル,断路器などがある。

なお,PF・S 形は,主遮断装置として高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を組み合わせて保護するものである。

参考文献

詳解 高圧受電設備の保護協調

郷田昌三 著,B5 版 / 288 頁 / 定価 3,850 円(税込) / 978-4-274-2272-1

高圧受電設備を管理する電気主任技術者・電気管理技術者にとって配電用変電所と需要家の保護協調を図り,需要家構内で生じた事故の波及を防ぐことは非常に重要です。本書は高圧受電設備の保護協調(過電流保護協調・地絡保護協調)について体系的かつ詳細に解説しています。また,過電流保護協調・地絡保護協調に関する演習問題を掲載することで,実務に必要な知識,計算力を養うことができます。

更新履歴

  • 2021年12月25日 新規作成
  • 2022年2月4日 参考文献に「詳解 高圧受電設備の保護協調」を追加
  • 2022年2月27日 参考文献に「平成30年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 法規 問7」を追加
  • 2022年5月21日 参考文献に「平成25年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問4」を追加

*1:複数個のリレー相互間もしくは保護装置相互間などで保護の協調を保ち,所定の目的を達成させる行為。保護対象の特性と整合した保護を行う行為。

*2:一般に配電用変電所では,多回線の配電線の地絡保護のため,地絡方向継電器および地絡過電圧継電器を組み合わせた方式が採用されている。つまり,線路地絡時に流れる零相電流,零相電圧を検出して,遮断器のトリップコイルが励磁され,自動的に遮断するようになっている。