目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

供給予備力を考慮した発電機の出力配分

ある電力系統には,表に示す G1 から G6 の発電機があり,G1 は最大容量の出力で一定運転の制約がある発電機,G2 は最低運転出力から最大容量までの任意の出力で一定運転の制約がある発電機であり,その他の G3 から G6 は最低出力から最大容量までの範囲で調整運転が可能な発電機である。

なお,G3 を揚水動力として運転するときは,発電の最大容量と等しい負荷電力で運転するものとする。

単位 : [MW]
発電機 種別 最大容量 最低運転出力
G1 出力一定運転 300
G2 出力一定運転 200 80
G3 揚水式発電 100 10
G4 調整運転 350 35
G5 調整運転 250 25
G6 調整運転 150 15

この電力系統に並列する発電機は,不意にいずれか 1 機が脱落したときでも,残りの運転中の発電機で出力を上げて,脱落前と同じ発電電力を保つことが必要である。したがって,運転中の発電機の総出力は,各発電機の最大容量の合計から調整マージン(上げ余力)を差し引いた出力しか出すことができない。この条件で,次の負荷状況における発電機の運転出力及び供給できる負荷電力は次のとおりである。

  1. 負荷が最大のとき,全発電機を運転し,G1 と G2 を最大出力一定とする場合,調整運転する G3 から G6 の合計出力は,上げ余力を確保して最大 (1) 500 [MW] であり,この系統が供給できる最大電力は (2) 1 000 [MW] である。
  2. 負荷が減少するのに合わせて,G3 を停止し,G1 は最大出力一定,G2 を最低出力とし,その他の発電機は上げ余力を確保しながら台数を調整して運転することとすれば,この系統が供給できる最大電力は (3) 780 [MW],最小電力は (4) 420 [MW] である。
  3. 負荷が最小となるとき,G3 を揚水運転して,G1 は最大出力一定,G2 を最低出力とし,その他の発電機は上げ余力を確保しながら最小限の台数で運転することとすれば,この系統が供給できる最小電力は (5) 305 [MW] である。ただし,G3 は発電に切り替えできないものとする。

参考文献

更新履歴

  • 2022年8月30日 新規作成