蒸気タービン及びタービン発電機の軸に起電力が発生した場合に,軸受及び軸受台を通してほとんど短絡状態に近い閉回路ができると軸電流が流れる。
蒸気タービンでは,蒸気の粒子が相互摩擦,あるいは,高速でタービン動翼,軸に衝突又は摩擦する際,蒸気タービン軸に静電荷が発生,蓄積することにより軸電流が発生する。
タービン発電機では,次のような原因で軸方向の起電力を生じることがある。
- 主として,電機子鉄心の割目数の不適当,工作上の不整,継ぎ目ギャップの不整等,構造上の原因から電機子鉄心の円周方向に対する磁気抵抗が不均一であると軸と鎖交する交番磁束が発生するため,タービン発電機軸に起電力が生じる。
- 軸の残留磁気などにより,軸方向の磁束が発生し,タービン発電機軸に局部起電力が発生する。
- 界磁回路の巻線絶縁不良により界磁電圧の一部が軸に印加される。
これらの起電力によって,軸と軸受の間に放電が起こると軸電流が発生する。これにより,軸受油膜が破られ,軸受が局部的に過熱したり,軸受メタルにピッチングが発生したり,潤滑油が劣化するなど運転に支障となる問題が発生する場合がある。
したがって,これを防止するために蒸気タービン軸にブラシを取り付けて接地したり,タービン発電機の一部の軸受台と台(ベース)との間に絶縁物を挿入するなどの対策を講じる必要がある。
参考文献
- 平成16年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問5
更新履歴
- 2022年6月13日 新規作成