タービン発電機の界磁喪失に関する事項について説明する。
界磁喪失が発生する主な原因
タービン発電機における界磁喪失の原因は,次のようなものがある。
- 界磁遮断器の開放
- 励磁機の事故
- ブラシ接触部の事故
- 界磁回路の短絡,2 線接地あるいは断線
界磁喪失時の影響
界磁喪失時に発電機に与える影響
タービン発電機の運転中に,何らかの原因で界磁電圧が異常に低下したり,完全に失われた場合,発電機の電気的出力が減少して回転数は上昇し,無効電力が減少して進相運転となり,端子電圧も上昇する。
この状態を継続すると発電機は誘導発電機となり,タービン発電機には円筒形回転子が使われていることから,回転子に生じる誘導電流は回転子鉄心及びくさびを流れ急速に過熱するおそれがある。
また,固定子巻線には系統から過大な無効電流が流れ込み固定子巻線が過熱する。
界磁喪失時に系統に与える影響
系統からみると,無効電力が減少することで系統電圧の低下となり,系統の安定度が急速に低下し,小さな系統では電源脱落や負荷遮断に至る可能性もでてくる。
したがって,タービン発電機が界磁喪失に至った場合には,すみやかに発電機を系統から切り離す必要がある。
界磁喪失保護に用いられるリレー
界磁喪失の保護には距離リレーを用いる。
発電機端子電圧を電流で除したものが距離リレーのみるインピーダンスであり,発電機が界磁喪失を生じると,このインピーダンス軌跡は発電機の直軸同期リアクタンス Xd と直軸過渡リアクタンス X′d の 1/2 とを直径とする円の中に入ることになり,これを検出する。
参考文献
- 平成17年度 第一種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問1「タービン発電機の界磁喪失」