次の文章は,パワートランジスタ,パワー MOSFET,IGBT 等のスイッチングデバイス(以下,スイッチと略す)の損失に関する記述である。
スイッチがオン状態の損失をオン損失と呼ぶ。
オン状態のスイッチの端子間電圧は理想的にはゼロであるが,実際にはゼロではない。この電圧をオン電圧と呼び,この値が大きいスイッチのオン損失は大きい。
一方,スイッチがオフ状態での損失をオフ損失と呼ぶ。
オフ状態のスイッチに流れる電流は理想的にはゼロであるが実際にはゼロにならず,微小な漏れ電流が流れる。
しかし漏れ電流は非常に小さく,オフ損失はオン損失に比べて十分に小さい。
スイッチのターンオンとターンオフは瞬時に行われることが理想的である。
しかし,実際の回路では,スイッチのターンオン・ターンオフ時に,スイッチの端子間電圧とスイッチを流れる電流がともにゼロではない期間が存在し,この期間に生じる損失はスイッチング損失と呼ばれる。
単位時間あたりの損失は,スイッチのターンオンとターンオフの繰返し周期が短いほど大きい。
スイッチング損失を低減する方法の一つがソフトスイッチングであり,ターンオン時の端子間電圧 $v_\text{sw}$ と電流 $i_\text{sw}$ の波形は,例えば,図のようになり,$v_\text{sw}$ がオン電圧になった後に $i_\text{sw}$ が上昇する。
参考文献
更新履歴
- 2022年9月13日 新規作成