目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

IGBT の構造と動作特性

IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor,絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)は,MOSFET を入力段とし,バイポーラトランジスタを出力段とするダーリントン接続の構造を同一の半導体基板上に構成したパワートランジスタであり,入力信号によってオン・オフの二つの状態に制御できるバルブデバイス(valve device)*1である。

ゲートに正の電圧を加えるとオン状態となり,ゲートに零か負の電圧がかかるとオフ状態となる。

このバルブデバイスには,n チャネルと p チャネル及び縦形と横形の構造があるが,電力用としては,主に縦形 n チャネル形が採用されている。

IGBT は,バイポーラトランジスタ並みの低いオン電圧,MOSFET の電圧駆動及び高速スイッチング特性を兼ね備え,かつ,バイポーラトランジスタに比べ破壊耐量が大きい。

さらに並行動作時の安定性が優れているので,チップサイズの大面積化及び複数のチップを並列接続することによる大電流化が容易である。

このような特長を有するため IGBT は,民生機器から汎用・大形インバータ,電車用電動機の制御装置,産業用大形プラント機器に至る広範囲の分野で用いられている。

参考文献

masassiah.web.fc2.com

更新履歴

  • 2022年3月5日 新規作成

*1:水を出したり止めたりするバルブに由来し,電気を流したり,止めたりする素子をバルブデバイスという。