架空送電線の電線の太さの選定について,説明する。
架空送電線の電線の太さを選定するにあたっては,様々な要因を考慮する必要があるが,その要因としては,電気的要因,機械的要因(強度・重量・耐振性・工事上の取り扱いなど)や価格などがある。
太さの選定に関係する主要な電気的要因
許容電流 (allowable current)
一般に電線に電流が流れると温度が上昇し,ある限度以上に高くなると引張強さなどの性能が低下するので,電線の性能に悪影響を及ぼさない温度限度(最高許容温度 (maximum allowable temperature))以下で使用しなければならない。
この限度の電流を許容電流 (allowable current) といい,電線の材質,構造,表面の状況,周囲温度,日射状態,風雨などにより異なる。
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電力損失
電線の径が小さい場合,抵抗 $R$ が大きくなる。
抵抗 $R$ の電線に電流 $I$ が流れると $I^2 R$ に相当する電力損失が発生するが,エネルギー輸送の観点から望ましいことではない。
コロナ
特に高電圧の送電線において電線の径が小さい場合,周囲の電界強度が高くなり,これが過大な場合にはコロナ放電が発生し電力損失,ラジオ雑音,近接通信線の誘導障害などを与えるので,これが発生しない範囲(AC 21 kV/cm 程度)で使用しなければならない。
電圧降下
電線の径が小さい場合,抵抗 $R$ と作用インダクタンス $L$ が共に大きくなるので,直列インピーダンス $\dot{Z} = R + \text{j}\omega L$ も大きくなる。
直列インピーダンス $\dot{Z}$ の電線に電流 $\dot{I}$ を流すと $\dot{ZI}$ の電圧降下が生じるが,送配電機器や負荷の電圧は可能なかぎり定格値近くで運用する方が望ましい。
すなわち,電圧降下が過大にならないようにしなければならない。
電線の太さの得失
太い電線,細い電線で 7 項目の要因を比較する。
| 要因 | 太い電線 | 細い電線 |
|---|---|---|
| 機械的強度 | ○ 引張強さ 大 | × 引張強さ 小 |
| 重量 | × 大 | ○ 小 |
| 価格 | × 高価 | ○ 安価 |
| 許容電流 | ○ 大 | × 小 |
| 電力損失 | ○ 小 | × 大 |
| コロナ ※単導体で比較 | ○ 小 | × 大 |
| 電圧降下 | ○ 小 | × 大 |
参考文献
- 電気学会大学講座 送配電工学[改訂版]
- 令和4年度 下期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問16「三相 3 線式送電線の電圧降下率」
- 平成26年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問3「架空送電線の電線の太さの選定」
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更新履歴
- 2022年10月26日 新規作成
- 2024年7月14日 「電線の許容電流」のリンク,参考文献に「電気学会大学講座 送配電工学[改訂版]」を追加
- 2026年3月29日 参考文献に「令和4年度 下期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問16」を追加
