フランシス水車を設置するダム水路式水力発電所における水撃作用について,説明する。
水撃作用が発生する主な原因
発電機や発電所構内事故あるいは送電線事故などにより,保護装置が発電機の負荷を自動遮断した場合,水車・発電機が危険な速度まで速度上昇しないよう,(調速機及び保護装置により)ガイドベーンを急速閉止する。
この場合,流水を急激に停止させたことにより,運動エネルギー(水流による慣性)が圧力エネルギー(高圧力)となって,水撃が発生する。
設計段階で水撃作用を考慮しなかった場合の被害
水撃作用の圧力変動により,水車のケーシング,水圧管路あるいは圧力トンネルを損傷するおそれがある。
設備による対策事例
サージタンクを圧力トンネルの末端付近に設置し,水撃作用による圧力変動を吸収させる。
制圧機をケーシングあるいは水圧管路の末端に設置し,水圧が危険圧力まで上昇しないよう,調速機(ガバナー)によるガイドベーンの急速閉止に連動して,この制圧機の弁体を開放し,ケーシング及び水圧管路内の水圧を逃がす。
参考文献
- 令和5年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問1「負荷遮断を実施した際の水撃作用」
- 平成26年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問1「ダム水路式水力発電所における水撃作用」
更新履歴
- 2022年10月25日 新規作成
- 2023年11月25日 参考文献に令和5年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問1 を追加