かご形三相誘導機の逆相制動
かご形三相誘導機の逆相制動は,運転中に一次巻線の三端子のうち二端子の接続を電源に対して入れ替えて,回転磁界の方向を逆にして制動する方法である。
この場合,滑り $s$ の動作領域は $s \gt 1$ である。
この方法はプラッギングともいい,低速時にも大きな制動トルクが発生し,急速に停止ができる。
逆相制動時,正方向に同期速度付近で運転している状態から停止に至るまでの間に回転子に生じるエネルギー損失は,負荷トルク及び機械損を無視し回転子と負荷の合成慣性モーメントだけを考えた場合,始動の過程で回転子に生じるエネルギー損失の約 3 倍となる。
すなわち,始動時の約 3 倍の熱量を発生するので,回転子の温度上昇が大きい。
かご形三相誘導機の回生制動
回生制動は,電車などの運動体を駆動している場合,電源周波数を下げて電動機を発電状態にし,その発生電力を電源に送り返しながら制動する方法である。
この場合,滑り $s$ の動作領域は $s \lt 0$ である。
回転子の回転速度が同期速度以上の場合,二次入力が負となり,電力は二次側から一次側に与えられ,電動機は発電機として動作する。
この場合,回転子及び負荷の運動エネルギーを吸収して交流電源に電力を送り返すので,損失の少ない制動が行われる。
参考文献
- 平成29年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問5「かご形三相誘導電動機の電気的制動法」
更新履歴
- 2022年7月12日 新規作成