三相誘導電動機の固定子を電源に接続して,固定子が作る回転磁界の回転方向と同一方向に,他の原動機を用いて同期速度を超える速度で回転させると,滑りは負の値となる。
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このとき,回転子巻線は電動機の場合と逆方向に回転磁束を切り,二次巻線の誘導起電力及び二次電流の方向は,電動機の場合と逆になる。
したがって,二次電流と回転磁束とによるトルクの方向は,回転子の回転方向と逆になる。
固定子電流の方向も電動機の場合と逆になるから,原動機から回転子への機械的入力は,電気的出力となって固定子から電源に送り出されることになる。
すなわち,誘導発電機 (induction generator) としての動作となる。
誘導発電機の特徴
このタイプの誘導発電機は以下のような特徴がある。
回転磁束を作るための励磁電流は,誘導発電機が接続されている電源から供給を受けなければならない。
周波数は,電源の周波数で定まる。誘導発電機の出力を増加するには,原動機の回転速度を増やさなければならない。
同期発電機と異なり,始動が簡単で,同期化の必要がない。
線路に三相短絡を生じた場合,励磁が失われるので,短絡電流は同期機に比べて小さく,持続時間も短い。
上記のような特徴から,誘導発電機は小水力発電機として用いられることがある。
参考文献
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更新履歴
- 2022年7月30日 新規作成
- 2023年5月17日 参考文献に「電気学会大学講座 電気機器工学Ⅰ(改訂版)」を追加