目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

電気事業法の自主保安が十分機能していることを確認するための方策

電気事業法は,電気工作物の工事,維持及び運用を規制することによって,公共の安全を確保するため,電気工作物の自主保安の考え方に基づき,事業用電気工作物については設置者に対して,技術基準維持義務,保安規程の作成・届け出・遵守義務,主任技術者の選任義務などを課している。そして,主任技術者を選任したときは,遅滞なく,その旨を経済産業大臣に届け出るべきことを定めている。

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他方,同法は,自主保安を基本としつつも,自主保安が十分機能していることを確認するための方策の一つとして国による立入検査を規定している。

例えば,自家用電気工作物の場合,同法は「経済産業大臣は,この法律の施行に必要な限度において,その職員に,自家用電気工作物を設置する者又はボイラー等若しくは格納容器等の溶接をする者の工場又は営業所,事務所その他の事業場に立ち入り,電気工作物,帳簿,書類その他の物件を検査させることができる。」と規定している。

また,自主保安にかかる義務の履行等に不備が認められるときには,国は,これを是正するため,次のような措置をとることができるとしている。

例えば,保安規程に関しては,「経済産業大臣は,事業用電気工作物の工事,維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは,設置者に対し,保安規程を変更すべきことを命ずることができる。」としている。

そして主任技術者に関しては「経済産業大臣は,主任技術者免状の交付を受けている者がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したときは,その主任技術者免状の返納を命ずることができる。」と定めている。

電気事業法 第56条(技術基準適合命令)

経済産業大臣は,一般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは,その所有者又は占有者に対し,その技術基準に適合するように一般用電気工作物を修理し,改造し,若しくは移転し,若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ,又はその使用を制限することができる。

電気事業法 第57条(調査の義務)

一般用電気工作物において使用する電気を供給する者(以下「電気供給者」という。)は,経済産業省令で定めるところにより,その供給する電気を使用する一般用電気工作物が前条第一項の経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。ただし,その一般用電気工作物の設置の場所に立ち入ることにつき,その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは,この限りでない。

電気供給者は,前項の規定による調査の結果,一般用電気工作物が前条第一項の経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは,遅滞なく,その技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知しなければならない。

電気事業法 第57条の2(調査業務の委託)

電気供給者は,経済産業大臣登録を受けた者(以下「登録調査機関」という。)に,その電気供給者が供給する電気を使用する一般用電気工作物について,その一般用電気工作物が第五十六条第一項の経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査すること並びにその調査の結果その一般用電気工作物がその技術基準に適合していないときは,その技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知すること(以下「調査業務」という。)を委託することができる。

参考文献

更新履歴

  • 2022年5月3日 新規作成