電気事業法,電気用品安全法,電気工事士法及び電気工事事業の業務の適正化に関する法律の目的について述べる。
電気事業法
電気事業法は,電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって,電気の使用者の利益を保護し,及び電気事業の健全な発達を図るとともに,電気工作物の工事,維持及び運用を規制することによって,公共の安全を確保し,及び環境の保全を図ることを目的とする。
(参考)旧 電気事業法
1911年(明治44年)電気事業法(全22条)を全面改正する形で,1931年4月に公布された。
本法は,第一次世界大戦を契機とする産業界の電力需要の急増を背景として,国民の生活および産業活動と密接な関係を有し,公益事業としての性格を一層強めてきた電気事業の合理的発達を促すため,できるだけ統制合理化を図って能率を増進するほか,事業の公益性を鑑み公益的監督を強化する規定が織り込まれた。
電気用品安全法
電気用品安全法(Electrical Appliance and Material Safety Law)は,電気用品の製造,販売等を規制するとともに,電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより,電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的としている法律。
「電気用品取締法」を20021年4月に改称し,現在に至る。
関係政省令として「電気用品安全法施行令」,「電気用品安全法施行規則」,「電気用品の技術上の基準を定める省令」がある。
電気用品安全法の目的
電気用品安全法は,電気用品の製造,販売等を規制するとともに,電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより,電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とする。
電気工事士法
電気工事士法(Electric Work Specialist Law)は,電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定めることによって,電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的に制定された(昭和35年8月 法律 第319号)。
この法律で電気工事とは,一般用電気工作物または自家用電気工作物を設置し,または変更する工事をいう。
本法は,電気工事士の種類,電気工事士のみが従事できる電気工事の作業,電気工事士の資格及び義務,電気工事士試験,その他について定めている。
電気工事士法の目的
電気工事士法は,電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め,もって電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする。
電気工事業の義務の適正化に関する法律
電気工事業の業務の適正化に関する法律(Law Concerning the Business Optimization of Electric Works,通称「電気工事事業法」)は,電気工事業を営む者の登録及びその業務の規制を行うことにより,その業務の適正な実施を確保し,もって一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安の確保に資することを目的に制定された(昭和45年5月 法律 第96号)。
本法は,電気工事業を営む者の登録,主任電気工事士の設置,電気工事士等でない者を電気工事の作業に従事させることの禁止,電気用品の使用の制限,その他について定めている。
電気工事業を行うには登録電気工事業者として,定められた役所に登録しなければならない。
この工事業者は電気工事会社を経営する者であって,かならずしも電気工事士である必要はない。
電気工事事業法の目的
電気工事業の義務の適正化に関する法律は,電気工事業を営む者の登録等及びその業務の規制を行うことにより,その業務の適正な実施を確保し,もって一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安の確保に資することを目的とする。
電気保安4法の規制対象
電気事業法,電気工事事業法,電気工事士法,電気用品安全法の 4 つをまとめて,電気保安4法という。
電気保安4法の規制対象をまとめると次表となる。
段階 | 適用される法律 | 規制する対象 |
---|---|---|
製造段階(部品材料の製造・輸入・販売) | 電気用品安全法 |
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工事段階 | 電気工事士法 電気工事業法 |
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維持・運用段階 | 電気事業法 |
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参考文献
- 電気事業講座編集幹事会 編纂,「電気事業講座 電気事業辞典」,エネルギーフォーラム,2008年6月10日 初版
- 令和6年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問1「電気保安4法の目的」
- 令和元年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問1「電気事業法,電気用品安全法,電気工事士法及び電気工事事業の業務の適正化に関する法律の目的」