電気溶接の一つであるアーク溶接(arc welding)は,溶接すべき金属材料と電極との間に,溶接に適した電圧を加えてアークを発生させ,そのアーク熱によって金属を加熱して融接させるもので,現在最も広く使用されている。
アークの電気的性質
アークの電気的性質は,直流アークが交流アークに比べて安定しているので,古くから直流アーク溶接が広く用いられてきたが,被覆溶接棒の改良によって交流アークの安定度も改善されたので,現在は,溶接機の電源として,直流又は交流の何れも使用されている。
アークは,電流の小さい場合は負性抵抗特性を示し,不安定である。
アーク電流が増大すると共にアーク電圧は減少するが,アーク電流がある値以上になるとアーク電圧はほぼ一定となる。
このことから,一般にアーク溶接では 100 [A] 以上で使用されている。
交流アークの不安定性の原因は,交流電流は半サイクルごとに零になり,その瞬間アークが一旦消滅することにある。
そのため手溶接用の電源としては,アーク発生前には溶接機の電圧をある程度高くしておき,アーク発生後は電極間隔に変化があってもアーク電流を安定に維持できるよう,電源に垂下特性をもたせることが必要である。
このため,電源には漏れリアクタンスの大きい可動鉄心形変圧器が主に使用される。
溶接電源の電圧-電流特性
溶接電源の電圧-電流特性には,垂下特性形,定電圧特性,定電流特性がある。
大気中でのアーク溶接
大気中でアーク溶接を行う場合,溶融している金属に大量の窒素が溶け込み,溶接部分の機械強度を著しく低下させる。
これを防ぐため大気をガスで遮へいする方法があり,そのガスには主として二酸化炭素・アルゴンが使用される。
参考文献
更新履歴
- 2022年2月4日 新規作成
- 2022年2月13日 参考文献に「平成10年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問4」を追加