電力変換装置の一例として,PWM 変換器,中間直流回路及びチョッパからなる構成を図 1 に示す。
ここで,PWM 変換器は,電圧形インバータと同じ主回路を交流電源側に適用したものである。
蓄電池を充電する場合,PWM 変換器を通過する電気エネルギーの流れは,交流電源から中間直流回路に向くことになる。
図 1 において交流電源相電圧 $e_\text{S}$,PWM 変換器交流側相電圧 $v_\text{C}$,リアクトル電圧 $v_\text{L}$ 及び交流電流 $i_\text{S}$ は矢印の方向を正とし,それぞれの基本波のフェーザを $\dot{E}_\text{S}$,$\dot{V}_\text{C}$,$\dot{V}_\text{L}$ 及び $\dot{I}_\text{S}$ とする。
これらの電圧,電流は三相対称交流の内の 1 相分である。
このとき,電源力率 1 の $\dot{I}_\text{S}$ を得る PWM 変換器の動作を表しているフェーザ図が図 2 である。
目標とする $\dot{I}_\text{S}$ を実現するために,結果として $v_\text{C}$ の基本波のフェーザが図 2 に示す $\dot{V}_\text{C}$ となるように制御している。
特に三角波比較正弦波 PMW 制御は,電圧のパルス幅によってスイッチング周期ごとの平均電圧を制御するものであり,スイッチング周波数を十分高くとれば正弦波状に変化する交流電圧波形に制御できることになる。
そして,このような動作を行う PWM 変換器では,通常中間直流回路の電圧 $v_\text{dc}$ は交流電源線間電圧のピーク値よりも高くしている。
一方,チョッパは,PWM 変換器を通して交流電源と中間直流回路が授受する電気エネルギーを,中間直流回路と蓄電池との間で出し入れする。
交流電源と蓄電池との間でやり取りする電力が PWM 変換器によって制御されている場合,チョッパは,図 1 に示す中間直流回路の電圧 $v_\text{dc}$,チョッパ出力直流電圧 $v_0$ 及び蓄電池の電圧 $v_\text{batt}$ のうち,$v_\text{dc}$ を一定にする制御を行う。
参考文献
- 平成30年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問3
更新履歴
- 2022年7月8日 新規作成