目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

熱電素子

熱電素子は異なる 2 種類の物質を接続して構成されている。

熱電素子に電流を流すと,物質の接合界面で吸熱や放熱が起こる。これをペルチェ効果といい,静止形のヒートポンプとして利用することができる。

熱電素子は半導体製造,光通信,バイオ・医療などの分野において,温度調節や冷却などの目的に広く使われている。

民生部門では,小形の保冷庫や冷蔵庫などにも用いられている。

熱電素子は,電流方向の切換えによって,一つの素子で加熱と冷却の両方が行えるため,フィードバック制御によって精密な温度制御が可能である。

ペルチェ素子による吸熱量は,二種類の物質のゼーベック係数をそれぞれ $S_\text{A}$,$S_\text{B}$ とすると,$S_\text{A}-S_\text{B}$ に比例する。

この吸熱量のほかに,素子で発生するジュール熱,素子の熱コンダクタンス,吸熱面と放熱面との温度差などによって,熱電素子としての熱輸送量が決まる。

吸熱面と放熱面との温度差を一定にして,大きな熱輸送量を得るために,複数の熱電素子を熱的に並列に接続し,一つのモジュールを構成している。

吸熱面と放熱面との温度差をより大きくとりたい場合には,このようなモジュールを多段に積み重ねる。

また,熱電素子の性能を表す指数の一つに成績係数(熱電素子の消費電力に対する吸熱量及び放熱量の割合)がある。冷却の成績係数の値は加熱の場合より 1 だけ小さい。

参考文献

更新履歴

  • 2022年7月9日 新規作成