近年の水力発電所の発電機には,定格で連続運転したときに許容できる最高温度として,耐熱クラス155(F)の電気絶縁システムが採用されている。
これにより,耐熱クラス130(B)と比べて最高温度が高くできるため,巻線の電流密度を上げることができ,導体断面積を小さくできる。
また,直列巻回数を増やして出力係数を大きくすることにより鉄心寸法を小さくできる。
その結果,発電機の小形化・軽量化が可能となり,建屋の小形化と,天井クレーンの吊り上げ荷重の減少化が図れる。
また,発電効率は,負荷損の増加により全負荷時の効率は低下するが,無負荷損の減少で部分負荷時の効率は向上する。
絶縁システム
電気機器の出力は実用上は熱による絶縁劣化によって決定される。JIS C 6147-1992により,電気機器の最高許容温度によって絶縁システムを下表のように区分している。
耐熱クラス | 許容最高温度 [°C] |
---|---|
90 (Y)*1 | 90 |
105 (A) | 105 |
120 (E) | 120 |
130 (B) | 130 |
155 (F) | 155 |
180 (H) | 180 |
200 | 200 |
220 | 220 |
250*2 | 250 |
なお,各耐熱クラスにおいて,その耐熱クラスより低い絶縁材料が一部に用いられた場合でも,その部分の温度が十分低く,電気的および機械的性質を損なわないものは,その耐熱クラスの絶縁とみなす。
参考文献
更新履歴
- 2021年11月19日 新規作成
- 2022年6月11日 参考文献に「平成9年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問1」を追加